国民保護訓練開始から4年半 全都道府県を一巡
「シナリオ訓練」脱却必要

サリン散布を想定した実動訓練で重症者を搬送する陸自隊員ら(2月6日、徳島県鳴門市で=総務省消防庁提供)
平成17年度から始まった「武力攻撃事態等における国民の保護のための法律」(国民保護法)に基づく国と地本自治体等の共同訓練が2月16日、高知県高知市で行われ、訓練開始から5年目で国と全都道府県との共同訓練が一巡した。
万一の武力攻撃事態から国民の生命財産を守るため、平成17年10月に自衛隊や消防、警察、自治体による初の国民保護訓練が行われて以来、今年度までに全国各地で計60回にわたり化学剤や爆弾テロ、武力攻撃事態に備えた実戦的な訓練が行われてきた。
高知県図上訓練では、高知市文化プラザかるぽーとの前庭で爆発事件が発生し、多数の死傷者が出たとの想定で、自衛隊や県、警察、消防など約120人が参加。県庁に設置された危機対策本部には「テロの可能性がある」「多数の死傷者が出た」などと通報が寄せられる中、職員らがホワイトボードに情報を書き込んだり、マイクを使って情報を伝達し、情報の共有化に務めた。
これに先立つ2月6日には、テログループによる化学剤(サリン)爆発散布事件が発生したとの想定に基づく実動訓練が徳島県で行われ、鳴門市の会場では医師らが負傷者のトリアージや除染前治療、除染を行った後、県や陸自、空自のヘリなどが被害者を搬送。現場では化学防護隊員がサリンの中和作業を行い、初動対処要領を演練した。
これまで行われた国民保護訓練では、福井や鳥取、愛媛県のように複数回実施している自治体がある一方、1回しか行っていないところも36道府県あるなど、自治体間の格差が目立っている。また、あらかじめ示されたシナリオに沿って対応する「シナリオ訓練」が主体のため、実際の事案に迅速・的確に対応するためには、ブラインド性を高めた訓練の必要性も指摘されている。
総務省消防庁国民保護運用室に出向している石津吉康1陸佐は「これまでの5年間の訓練の成果をもとに、ブラインド性を盛り込むなど訓練シナリオをより実際的な内容にするとともに、住民への啓発などさまざまな取り組みを行っていきたい。今後は複数地域での同時多発テロや県境をまたがる避難も取り入れ、複数の都道府県との共同訓練を行う必要がある」と話している。