10/29日付
危機管理展・テロ対策展を見る 防災・防犯・テロ対処…… 新技術競う企業 目立つ新型インフル対策 今年で5回目を迎えた危機管理産業展。内外約280社が参加、防災、防犯、テロ対策機器など約400アイテムが展示された(写真はいずれも10月22日、東京ビッグサイトで) 移動式のX線撮影装置、新型インフルの爆発的感染の際でも、肺炎の状態などを屋外のテント内でも撮影可能だ 米軍やNATO軍などで個人装具の標準装備品としている止血バンド。骨折の際の固定など各種の使い方ができる LED照明器と組み合わせたエリア監視の高感度CCDカメラ。照明することで抑止効果を高めるねらいがある イラクの戦場でも活躍している米国製のiロボット。小型軽量で偵察をはじめ、アクセサリー交換で何役もこなす 大規模な自然災害や犯罪対処、各種テロ対策用の製品・技術を紹介する「危機管理産業展2009」と併設の「テロ対策特殊装備展09」が10月21日から23日まで、東京・有明の東京ビッグサイトで開催され、約6万4600人が入場し、関心の高さを示した。 今年で5年目の「危機管理展」には277社が出展、防災、防犯、リスク管理などの各種製品を展示。とくに爆発的感染が予測されている新型インフルエンザ対策用の各種製品が注目を集めた。 一方、「テロ対策展」は3回目で、国内外の83社が、治安関係者など専門家向けの高度な最新監視システムや爆発物検知装置などを展示、センサー技術の進展をアピールした。 「危機管理展」には朝雲新聞社もブースを設け、自衛隊の災害派遣活動やこれらの活動に使われる装備品の写真パネルなどを展示、国民の安全・安心にかける自衛官の姿などを紹介した。 危機管理展 パンデミック対処に35社 「危機管理展」は防災、防犯、リスク管理の3分野に分けられ、防災では災害対策をはじめ火災予防、消火、救急、救助などの各種システムや器具、防犯では遠隔監視、警備システムなど、また、リスク管理では熱探知赤外線カメラ、情報漏えい対策など最新の製品が展示された。 とくに大量の感染が懸念されている新型インフルエンザ対策には約35社が出展。製薬会社のうがい薬やマスクにはじまり、ウイルスを滅菌する機器や、患者の爆発的な発生に対処する可搬式個人用隔離装置、室内の空間除菌装置、回診用X線撮影装置などを展示。 中でも可搬式個人用隔離装置は、大量の感染患者発生時に体育館などを利用して集団隔離する場合に便利な製品で、中型のスーツケースに収まり、重さは約3キロ。透明フードで患者の胸から上を覆い、内部の空気を陰圧によって吸引し、超高性能のヘパ・フィルターを通してウイルスをろ過する仕組み。 通常は病院内の局所隔離に使われ、医師や看護師への感染を防いでいるが、簡易ベッドと組み合わせて緊急時には野外テント内でも使用可能だ。 また、回診用X線装置は、法律の改正により鉛壁の室内でなくても一定の条件下、患者ベッド脇で使用できるほか、テント内でも感染患者の肺炎状態の撮影が可能で、パソコンにつなげればリアルタイムで容態のトリアージに威力を発揮するという。 このほか防災関連では、負傷した際の止血バンド、避難用のプラスチックボード製簡易ハウスなどが目を引いた。止血バンドはイスラエルのファースト・ケア社製で、米軍、NATO諸国軍では個人装具の標準装備という。内外二重の真空パックで衛生を確保し、負傷した際に自分自身で止血などが簡単にできる。傷当てパッドとプラスチックの器具で、負傷の状態によって止血のほか手足の固定など、三角巾以上の能力を持つアイデア製品だ。 軽量で剛性に優れた簡易ハウスは、段ボールと同じハニカム構造のプラスチックボード製で約1畳半の大きさ。個人空間として使用するほか、ユニットを組み合わせて屋外のトイレや集会所、店などとして使用でき、体育館などの屋内では診療室、更衣室、プライバシーを守る個室など、使用範囲も広い。耐用1年、移設も可能だ 「防犯」分野では、防刃防護ベストが注目された。P・TEXと呼ばれる特殊な織物で、切創抵抗力83・3ニュートンという強靭さにより、ナイフの刃先も通さず、チェンソーの回転刃も止めてしまう。織物の厚さは数ミリで加工も容易なのが特徴。特許申請中で、ベストのほかに新たな活用分野を研究中という。 テロ対策展 検知監視に新製品ズラリ 「テロ対策展」には、今回も検知器、エリア監視システム、特殊装備分野で約100点が出展された。 検知器は、化学剤、生物剤、放射性物質、爆発物などを検知するものが中心で、各国の空港警備で使用されている液体爆発物検知器もその一つ。レーザー光を照射して液体の内容物を5秒から20秒以内に同定する最新のラマン分光分析法を採用、ペットボトルなどの透明な容器の外側からレーザー光を当て爆発性物質を検出。小型で携行も容易で定期的な保守も不要という優れものだ。 また、バッグなどに付着している物質をイオン分光分析する携帯型爆発物検知器は、検知器の吸引部にバッグなどからふき取った布をあてると物質を同定して光と音で警報を発する仕組み。検知情報はコンピューターに送られモニターに表示される。 エリア監視では、可搬式レーザーカメラが新システムとして登場。撮像部のレンズは320ミリ、高感度カラーCCDカメラを使用。近赤外レーザー光の照射により夜間監視距離は1キロ、300メートルの距離で8センチの大きさの文字を読むことができる。不可視レーザー光のため暗夜や雨、霧などの環境でも対象に察知されずに監視が可能で、重要施設をはじめ、港湾、空港などのエリア監視には威力があるという。 一方、装置をあえて露出することで抑止効果をねらった監視装置も。発光ダイオードを使った「白色LED照明器搭載監視カメラ」で、光学40倍ズームレンズと高感度のCCDカメラ、LED照明を組み合わせたもので、有効距離は約200メートル。近く発売予定で、河川管理や公園、繁華街での防犯監視など活用分野も広そうだ。 「特殊装備」では、やはり米国の地上ロボット「iRobot」が目を引いた。イラクの軍事作戦などで使われ、日本でも知られたロボットだが、小型軽量で携行可能、簡単操作、頑丈でしかもアームなどアクセサリーの交換で活用範囲は相当に広い。 その能力は偵察、監視にはじまり、移動中継地のセンサーネットワークの拠点となるほか、狙撃手、榴弾砲、ロケット弾などの発射位置探知、複雑構造物の配置図化、爆発物処理や道路わきの自動車IED探知、移動ルートのクリアリングなど。価格は12万ドル程度、約1300万円(オプションは別)という。