7月の朝雲ニュース

7/16日付

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注目集める初の3胴艦
米「インディペンデンス」の公試始まる

 空自の次期戦闘機(FX)選定に注目が集まっているが、同様に米国では海軍の「沿海域戦闘艦(LCS)」選定の行方に大きな関心が寄せられている。2隻の候補の一方が世界初の3胴型多機能艦だからで、「インディペンデンス」(基準排水量約2180トン)と命名された同艦は7月上旬からメキシコ湾で公試を開始、米海軍はホームページ上にその写真を公開している。今後、50隻程度の建造が計画されるLCSだけに、同様の3胴艦を研究中の防衛省技術研究本部の関係者も選定作業を注視している。


 正面から見た「インディペンデンス」。3胴の船体とステルスを追求した台形状の構造が特徴だ(写真はいずれも米海軍HPから)


 3胴によって後部に広い飛行甲板を有する「インディペンデンス」。その下は各種装備を搭載できる多機能区画となっている


 上空から見た接岸作業中の「インディペンデンス」。3胴船型により荒れた海でも動揺が少なく、高速機動が可能とされている


 米海軍の沿海域戦闘艦のもう一隻の候補、半滑走単胴船型の「フリーダム」(ロッキード・マーチン社HPから)

独特の形状と高速
多機能誇る「沿海域戦闘艦」


 「インディペンデンス」の斬新なフォルムは、ステルス戦闘機F22が初めて登場した時と同様に、見た者に衝撃を与える。
  米海軍の公開写真を見ると、正面からはピラミッドのような台形で、独特の3胴船体(トリマラン)の間には広いスペースがあり、後方の空まで見通せる。この細い三つの船体形状により時速47ノット(約87キロ)という高速を誇る。
  一方、後方からはヘリ甲板とその下の多機能区画「ミッション・ベイ」の配置がよく分かる。全幅は31メートルもあり、排水量では6倍の海自新DDH「ひゅうが」の33メートルに匹敵し、哨戒ヘリ2機と各種無人機のほか、多機能区画には作戦に応じ機動高速艇、無人水上艇、無人潜水艇、掃海具、さらに陸軍の戦闘車両なども搭載できる。
  米海軍は海外の紛争地などに部隊を急派するため、従来より軽装備で高速の「沿海域戦闘艦(LCS=Littoral Combat Ship)」の整備を進めているが、その候補としてゼネラル・ダイナミクス社提案の「インディペンデンス」とともに、ロッキード・マーチン社提案の単胴型艦「フリーダム」(満載排水量3000トン)が現在、各種試験に臨んでいる。
  両艦はともに57ミリ単装砲、個艦防御用の短距離対空ミサイル、機銃などを装備。従来艦タイプの「フリーダム」は速力や甲板の広さでは3胴型の「インディペンデンス」に劣るものの、建造費(調達コスト)では優っているとされる。
  米海軍は今後、両艦種をあらゆる角度から比較し、いずれかをLCSとして正式採用する予定だ。このため、「インディペンデンス」と「フリーダム」をそれぞれ試験艦としてアラビア海などに派遣し、実際に対テロ活動や海賊対処作戦に投入、その使い勝手なども見るという。
  仮に「インディペンデンス」が採用されれば、ステルス戦闘機F22が各国空軍に与えた影響と同様、3胴艦は各国海軍にも大きな影響をもたらすと見られている。


3胴艦を研究開発中の技本
公試の行方に関心
任務に応じ装備品交換

 「インディペンデンス」の公試開始について、同様の3胴艦の研究開発を行っている技本の担当者は次のように話している。
  米国は、沿岸海域における作戦行動に主眼を置いた小型戦闘艦艇としてLCS計画を推進しているが、その最大の特徴は高速機動性と、任務に応じてモジュール化された装備品を交換する柔軟性の高さにあり、2種類のLCS船型を建造して、将来そのどちらか一方を大量建造する計画だ。
  このうち「インディペンデンス」はゼネラル・ダイナミクス・グループがシステム設計を担当し、オースタルUSA社のモービル造船所が建造したトリマランをベースとした艦艇で、徹底したRCS(レーダー反射面積)低減対策が図られるとともに、波浪中の速力低下、波浪衝撃、動揺等を極力減らすことが可能となるものと見られ、海上試験の結果が興味深い。
  なお、LCSのもう一方の「フリーダム」は、ロッキード・マーチン社がシステム設計し、マリネッタ・マリーン社が建造した半滑走単胴船型で、これはすでに海軍に引き渡され、数々の試験を実施中だ。