海賊対処法が成立
浜田大臣 部隊編成など準備命令
アフリカ・ソマリア沖の海賊対策で諸外国の船舶の保護も可能とする「海賊対処法案」が6月19日、参院本会議で民主党などの反対多数で否決された後、衆院本会議で憲法59条2項の規定に基づき賛成多数で再可決、成立した。同法は公布の日から30日後に施行されるが、同法の成立を受けて浜田防衛相は同日、折木統幕長らに準備を指示、泉自衛艦隊司令官らに施行後の海賊対処行動実施のための準備命令を発出した。麻生首相は同日、「本法律により、日本はあらゆる国々の船舶を海賊行為からの保護対象とするとともに、海賊行為を処罰することが可能となった。日本は各国と連携して、海賊行為に対し適切、効果的に対処することができる」との談話を発表。浜田防衛相も臨時記者会見で「法律の施行後、速やかに海賊対処行動を開始したい」と述べた。
外国船の保護可能に 7月下旬施行
防衛大臣の準備指示・命令は、統・陸海空各幕僚長と情報本部長に対する@部隊の編成A装備品等の調達、補給、集積、整備B教育訓練、予防接種C関係機関との調整D情報収集??と、中央即応集団司令官、自艦隊司令官、航空支援集団司令官に対する法施行後の海賊対処行動の迅速、適切な実施のための準備。
浜田防衛相は同日の臨時会見で「本法律の施行後、速やかに海賊対処行動を開始し、日本に関係する船舶の防護を行い、すべての国が最大限に可能な範囲で海賊行為の抑止に協力することを踏まえ、各国などと連携して海上の安全と秩序の維持を図っていきたい」と述べた。また、任務開始の時期について、「海警行動で行っている隊員のメンタルヘルスの面も大変厳しい。長期間にわたる任務はできるだけ避けたい。一番早い方策をとって、切り替えのできるような合理的な対処をしていきたい」との考えを述べた。
政府は法律の成立を受け関係省庁と調整して政令の作成を急ぐ一方、防衛省でも訓令や対処要項の作成作業を進めており、7月下旬、新法施行と同時に自衛隊部隊に保護活動の開始を命じる予定だ。
新法による派遣規模・活動内容は、自衛隊法82条の海上警備行動で派遣されている護衛艦2隻とP3C哨戒機2機、隊員550人、アデン湾の東西約900キロの航路帯での商船護衛という現在の規模・活動を踏襲する。ただし、防護対象が外国船にも拡大するため、外国船との連絡・調整要領を国交省などと詰める必要がある。
新法は13条と付則から成り、3条と4条で海賊行為に関する罪を規定、最高刑を死刑と定めている。7条の海賊対処行動では、防衛大臣は海賊行為に対処するため首相の承認を得て、自衛隊に必要な行動をとることを命ずることができると規定。その際、防衛大臣は関係機関の長と協議して@海賊対処行動の必要性A行動を行う海上の区域B自衛隊部隊の規模、構成、装備、期間Cその他行動に関する重要事項??の4項目を作成し首相に提出する。
対処行動時は海上保安庁法、警職法を準用、武器の使用が認められている。さらに9条では海賊行為に対しわが国の法令を適用することを規定している。