「あたご」事故で最終報告書
当直の連携不十分 艦長ら38人を処分
昨年2月、千葉県野島埼の南方海域で海自のイージス護衛艦「あたご」と漁船の「清徳丸」が衝突し、漁船の乗組員2人が死亡した事故を調査していた防衛省は5月22日、操艦指揮をとっていた当直士官の不適切な見張り指揮と艦橋とCIC(戦闘指揮所)の連携不十分が事故の直接的要因だった、とする最終報告書を公表するとともに、当直士官だった長岩友久3海佐と当時の艦長・舩渡健1海佐を停職30日とするなど同日付で38人の懲戒処分を発表した。(報告書の要旨は3面)
報告書は、「あたご」乗員からの聴取、艦内諸記録の確認作業などに基づき、衝突に至る「あたご」の行動経過、衝突の原因を明らかにするとともに、漁船「清徳丸」の行動については、漁船を視認した「あたご」乗員の証言、海難審判における理事官の論告、補佐人の陳述、裁決などに基づき記述。
それによると、「あたご」は、米国の試験評価施設を使用した装備認定試験(SQT)を行った後、2月6日にハワイのパールハーバーを出港、横須賀港に同19日午前入港予定で行動していた。
「あたご」は基本的には4直体制としていたが、艦長は乗員にSQTの実施報告を作成する時間を与えるため5直体制をとっていた。艦橋の見張り員配置については、19日午前2時5分ごろ、1直の当直士官に就いていた航海長(3海佐)が、急激な気温の低下によって見張り当直員が体調を崩すことを危惧し、ウイングの見張り員を艦橋内に配置するよう指示。2直の当直士官である水雷長(3海佐)も、当直交代後に見張り員をウイングに出すつもりだったが失念し、交代後も艦橋内で立直していた。
一方、CICでは、電測員長(海曹長)が、船務長(3海佐)の許可を得ないで零時から4時の当直員を減員していた。操舵の状況は、事故直前まで自動操舵で航行。また、自動衝突予防援助機能は事故当時、自動捕捉機能を使用していなかった。
1直当直士官は3時40分から同47分ごろ、右30度から50度に3隻の白灯を視認し、レーダーでも確認。針路、速力を測定した結果、危険がない目標と判断。50分から同55分ごろに2直の当直士官との申し継ぎで、右前方の漁船群は「方位が落ちているので危険なし」と申し継いだ。
2直の当直士官は4時4分から5分ごろ、右約70度〜80度に2〜3隻の目標を視認し、距離が近いと認識したが、方位が落ちており衝突のおそれはないと判断。また、レーダーでも目標を捜索したが映像を確認できなかった。この後、同6分少し過ぎ、右約70度約90メートルの漁船を視認し、「両舷停止、自動操舵やめ」を下令、汽笛短音6回を鳴らし、同時に「後進一杯」を下令したが、同7分少し前、「清徳丸」と衝突した。
これらの経緯を踏まえ、事故の直接的な要因は、2直当直士官が視認した漁船と衝突のおそれがないと安易に判断し、継続的な見張りを行わず、目標の動静を把握していなかったこと、CIC、見張り員等も適切な捜索・測的指示や動静監視等の見張り指揮を行っていなかった、などと断じた。
また、間接的な要因として、1直から2直への申し継ぎの際、誤った内容を申し継いだことや、隊司令の指導監督、艦長の運航指導、副長の艦長補佐の不十分、CICと艦橋の連携不十分、レーダー捜索要領の不適切、CIC当直員の減員を挙げている。
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防衛省は5月22日、護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故について、艦船事故調査委員会の調査結果を踏まえ、当時の乗員ら計38人の懲戒処分を行った。
当時の艦長の舩渡健1海佐を指揮監督義務違反などで停職30日としたのをはじめ、事故当時の当直士官だった前水雷長の長岩友久3海佐を公務上の過失傷害致死などで停職30日、事故前の当直士官だった前航海長の後潟桂太郎3海佐を職務上の注意義務違反で停職20日とした。
処分の内訳は停職5▽減給3▽戒告5▽訓戒4▽注意6▽口頭注意15。