5月の朝雲ニュース

5/28日付

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2代目「しらせ」の艦内拝見
“エコ・シップ”に様変わり
砕氷能力格段に向上
汚水もゴミも自前で処理

 2代目「しらせ」が5月20日、舞鶴で就役し、25日には母港・横須賀に初入港した。新「しらせ」はわが国の砕氷艦としては4代目だが、名前だけでなくサイズ・スタイルとも先代「しらせ」そっくり。26年の時を経て、どこが新しく変わったのか。先代と比較しながら新「しらせ」の特徴をまとめた。


 就役を前に融雪用散水装置の試験を行う「しらせ」(舞鶴沖で=ユニバーサル造船提供)


 舞鶴で就役、母港・横須賀に回航され、横地隊の隊員らが出迎える中、接岸する新「しらせ」(5月25日)


 舞鶴出港を前に花束を贈られる「しらせ」の小梅艦長(左)ら(5月20日、舞鶴港で)


 幅28メートルの広い艦橋部。南極の厳しい自然の中でも1万2000トン余の大型艦を快適に操艦できそうだ



 最新機器を備えた操縦室。体当たりで厚い氷を割るラミング作業でも中心的な役割を担う


 新「しらせ」に2機搭載、輸送効率のアップが期待される最新の大型多用途ヘリコプターCH101


 新「しらせ」は文字通りの“エコ・シップ”。艦内で出た可燃ゴミを焼却処理する設備も初めて導入された

艦首部の穴から海水放出し融雪

 2代目「しらせ」の外観は、上部構造物、マスト、飛行甲板、クレーンの配置など、いずれも先代と良く似ていて違いを見つけるのは難しい。
 あえて相違点を探せば、先代は艦首形状が尖っていたが新型は丸みを帯び、これまで氷海を切り裂いて進んでいたのが、船体を氷に乗り上げながら砕氷航行する方式に変わった点だ。このほか煙突が二つになり、先代にあった白い大型レドームが消えた。また、新「しらせ」では煙突とヘリ格納庫の間に58個の貨物用コンテナを積載するスペースが新たに設けられている。
 外観は似ているが、他方、艦内部は大きく様変わりしている。新「しらせ」は近年の環境保全意識の高まりを受け、南極の自然を守るために世界最新鋭の「エコ・シップ」として建造された。 
 船体は「二重船殻構造」となり、万一、船底や船腹を損傷しても内部船殻内にある燃料タンクは保護され、燃料流出といった事故が防げる。また艦内で出た汚水はすべて浄化処理した上で排水、生態系に影響を与えないよう配慮されている。固形廃棄物も焼却処理、ビン・カン類は破砕処理して日本に持ち帰る。
 船体はほぼ同じ大きさながら貨物搭載量は1割アップの1100トンとなり、多くはコンテナに収容して運ぶ方式に。この結果、大型クレーン(15トン)4基を使って搭載・卸下作業もスムーズに行えるようになり、昭和基地到着後の物資搬入も安全かつスピーディーになる。
 砕氷航行能力も格段に向上した。新「しらせ」は喫水線以下の船体外板にステンレスクラッド鋼を採用、船体がなめらかになり、摩擦抵抗が低下、厚さ1・5メートルの氷でもスムーズに連続砕氷しながら進むことが可能だ。
 エンジンも新型のディーゼル・電気推進方式(2軸)により前・後進の切り替えが早くなり、この結果、体当たりで氷を割るラミング(チャージング)速度もアップする。
 さらに艦首部には「融雪用散水装置」を搭載。これは艦首部に計20個開けられた穴から海水を一斉に放出する装置で、氷上に積もった雪を一気に溶かすことが可能となる。先代「しらせ」では積もった雪がクッションとなり、なかなか氷が割れないこともあったが、「散水装置」により雪を溶かし、ラミングの威力も増す。
 艦内通信システムも一新された。衛星通信の複数の回線を用い、リアルタイムに近い状況で情報の送受信ができるようになったほか、光ケーブル網が艦内に張り巡らされ、観測隊員は艦内LANにより日本にいるのと変わらない環境で研究を続けることができる。
 各種観測機器も新しくなった。海底探査用には「マルチビーム音響測深装置2型」を搭載、3次元の海底地形図が得られるほか、飛行甲板下にはその時々の要求により必要なコンテナ研究室が搭載できるようになった。 
 物資や人員の輸送に用いる艦載ヘリも最新型を搭載。2機のCH101多用途ヘリは、海自が導入中の新掃海・輸送ヘリMCH101と同タイプの大型機で、従来のS61Aヘリは1500馬力のエンジン2基だったが、CH101は2150馬力のエンジンを3基搭載、出力は2倍にアップした。最大4トンの貨物輸送ができ、悪天候時でも安全な飛行が可能となる。
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 「しらせ」主要諸元 ▽基準排水量1万2650トン▽全長138メートル、幅28メートル、深さ15・9メートル、喫水9・2メートル▽ディーゼル機関4基、推進電動機4基▽軸馬力3万馬力(2軸)▽速力19ノット▽乗員179人、観測隊員等80人▽搭載ヘリ=CH101(輸送用)2機、観測用1機。