20年度空自緊急発進実施状況
各方面隊とも減少
対象、ロシア機が8割超す
統合幕僚監部は4月23日、航空自衛隊が平成20年度に行った緊急発進(スクランブル)の実施状況を発表した。それによると20年度の緊急発進回数は237回で、19年度の307回に比べ70回、約23%減少した。対領空侵犯措置任務を開始した昭和33年度から平成20年度末までの緊急発進の累計は2万773回。20年度の領空侵犯はなかった。任務開始以来の領空侵犯は計34件。
対象機の国籍別発進回数は推定を含め、対ロシア機が193回(前年度253回)と全体の約81%を占めて例年通り最多、次いで対中国機が31回(同43回)と13%を占め、対台湾機が7回(同3回)、米軍機など「その他」が6回(同8回)。「その他」の内訳は推定を含め対米軍機が4回、韓国の対民間機が2回だった。
方面隊別の発進回数は北空121回(前年度173回)、中空46回(同54回)、西空28回(同36回)、南混団42回(同44回)で、各方面隊とも軒並み減少した。
折木統幕長は同日の記者会見で、「引き続きわが国周辺地域の警戒監視について、万全の体制を作り上げていきたい」と述べた。
統幕では「昨年に比べて回数は減少しているものの、全体的、長期的には増加傾向にある」としており、ロシア機の動向について「例年、日本海側の接近飛行のほうが太平洋側を南下して房総半島沖から伊豆諸島や八丈島方面を周回するいわゆる“東京急行”と呼ばれる偵察ルートよりも回数的には多いが、ここ数年の“東京急行”は冷戦時代の飛行パターンに比べ、伊豆諸島を経てさらに沖縄沿岸にまで飛行しているのが特徴」としている。
最近の“東京急行”と、日本海接近飛行の事例としては、いずれも領空侵犯には至らなかったものの、今年3月、露ツポレフTu142型長距離対潜哨戒機が北方領土から太平洋を南下して伊豆諸島南部から沖縄方面まで偵察した事例や、Tu95型爆撃機、イリューシンIL20型電子情報収集機も相次いで同月、日本海側上空をわが国領土を沿うように偵察飛行した事例などがある。
緊急発進は国籍不明機がわが国領空に接近したとき、戦闘機などを発進させて領空侵犯を未然に防ぐ任務行動で、昭和59年度の944回をピークに平成元年以降は減少、150〜200回程度で推移していたが、16年度の141回以降は再び増加傾向に転じている。
またロシア軍機が偵察飛行

ロシアのツポレフ142型長距離対潜哨戒機2機が4月23日、北海道から能登半島沖までの日本海上空をわが国領空に沿うようなルートで偵察飛行したため、空自のF15戦闘機などが領空侵犯を未然に防ぐための緊急発進を行った。
統幕では同日、空自機が上空で撮影した対象機の写真=写真=を公開。領空侵犯には至らなかったが、同国は今年3月にも同型機が太平洋を伊豆諸島から沖縄方面まで偵察飛行、また、ツポレフTu95型爆撃機とイリューシンIL20型電子情報収集機も北海道から山陰沖までの日本海上空を偵察飛行し、空自機が緊急発進する事案があったばかり。
露巡洋艦など対馬海峡通峡
4月26日午前7時半ごろ、長崎県・上対馬の南東約38キロの対馬海峡を北東進するロシア海軍の「スラバ」級ミサイル巡洋艦(満載排水量1万1490トン)と「ソルム」級航洋曳船(同1660トン)の2隻を、海自16護隊(佐世保)の護衛艦「とね」が確認した。