日韓防衛首脳会談 交流促進へ共同文書
核・海賊でも協力探る
浜田防衛相は4月23日、防衛省で韓国の李相憙(イ・サンヒ)国防相と日韓防衛首脳会談を行い、北朝鮮問題について日米韓の枠組みの中で日韓関係をさらに強化することで一致した。また、日韓防衛交流では各組での交流促進で合意、防衛交流に関する意図表明文書に署名した。日韓防衛当局が共同文書を交わしたのは初めて。防衛首脳レベルの会談は平成17年1月の大野防衛庁長官と尹光雄国防相、同19年2月の久間防衛相と金章洙国防相、昨年6月のアジア安全保障会議における石破防衛相と李国防相に続いて4度目。
防衛交流促進のための共同文書に署名後、握手を交わす浜田防衛相と李相憙国防相(右)(4月23日、防衛省で)
日米韓枠組み強化でも一致
会談には日本側から浜田大臣のほか増田事務次官、大江防衛参事官、高嶋統幕副長、松本防政局次長ら、韓国側から李国防相、趙国際政策官、李筆頭公使、朴軍事補佐官らが出席。
席上、浜田防衛相は、先の北朝鮮のミサイル発射で日米韓の枠組みによる協力に謝意を表明するとともに、「本日の会談を含め、さらに日韓関係を強化したい」と述べた。李国防相も、日韓は近い国であり、もっと近くなる必要があるとして、「今までの関係に加え、今後、未来に向けて、より緊密な関係を持ちたい。日韓が力を合わせて世界の平和に貢献したい」と述べた。
北朝鮮のミサイル発射に際して両国は国連の場で協調して対処したが、今後も日米韓の枠組みをさらに発展させるため模索していく必要があること、また、6者協議を通じて北朝鮮の核廃棄を目指し、冷静に忍耐強く完全廃棄まで努力することで一致した。
日韓防衛交流で李国防相は、98年の政策企画局長当時から考えてきたとして、「今回作成した交流に関する文書には意図するものはすべて含まれている。実行していくことが重要だ」と述べ、浜田防衛相も「日韓は未来志向で成熟した関係を築くことに両国首脳が合意している。防衛交流も互いに未来を見据えて関係を築きたい」と応じた。
国連平和維持活動など国際的活動での日韓の協力も話し合われ、李国防相は韓国がソマリア沖海賊対策のために海軍艦艇1隻を派遣しているとして、「互いに経験を共有したり、緊急時には助け合うことも重要」と、現地での協力の意向を示した。これに対し浜田大臣は「今日、衆院で海賊対処法案が通った。成立すれば新たな活動もできる。P3C哨戒機を派遣する準備も進めている。今後は艦艇同士のつながりもできると思う」と述べ、賛意を示した。
日韓防衛交流意図表明文書(要旨)
I 目的
本文書は、当事者間の防衛交流の円滑な進展を目的とする。
II 交流の範囲
1 本文書による人的交流の範囲は、以下のとおり。
(1)防衛関連の人的交流の実施
(a)ハイレベル交流の実施
(i)防衛大臣と国防部長官との間の対話の実施
(ii)防衛事務次官と国防部次官、統幕長と合同参謀議長、各幕僚長と各軍参謀総長との間の対話の実施
(b)実務レベル交流の実施
(i)安全保障・防衛問題に関する局長・次長級の防衛当局間協議の定期的な実施
(ii)局長・次長級の防衛当局間協議を補佐する課長級の協議の定期的な実施
(iii)統合幕僚監部と韓国合同参謀本部との間の幕僚間協議の定期的な実施
(iv)陸自と韓国陸軍との間の幕僚間協議の定期的な実施
(v)海自と韓国海軍との間の幕僚間協議の定期的な実施
(vi)空自と韓国空軍との間の幕僚間協議の定期的な実施
(vii)両国防衛当局が各々開催する局長・次長級又は幕僚間の多国間協議への参加
(viii)防衛施設業務に関する課長級の交流の定期的な実施
(2)防衛省防衛研究所、韓国国防部の国防大学校を含む両国防衛当局の教育機関及び研究機関の代表による交流の実施
(3)両国防衛教育機関間の学生交流の実施
(4)捜索・救助活動に関する共同訓練の定期的な実施
(5)両当事者間の部隊間交流の実施
(i)双方の訓練へのオブザーバー参加の協議及び実施
(ii)陸自と韓国陸軍との間の部隊相互交流の実施
(iii)海自と韓国海軍の艦艇及び航空機の相互訪問の実施
(iv)空自と韓国空軍の航空機の相互訪問の実施
(6)国際平和協力業務、国際緊急援助活動、人道復興支援活動に関する協力
(7)両当事者が開催する国際会議及び各種行事への積極的な参加
2 両当事者の交流の範囲は、上記事項に限定するものではなく、両当事者は、日韓防衛交流の発展のため新たな協力分野を追求すべく努力する。
3 両当事者は、双方の同意に基づき、上記1(1)の人的交流に関して、交流する人のレベル並びに訪問及び会談の周期を調整する。
III 保全
両当事者は、防衛交流の過程で知り得た情報が、各々自国の国内法令に基づき、また、他方の要望を十分に踏まえつつ、適切に管理されることを確実にする意図を表明する。