21年度防衛費 重要施策を見る<7>
研究開発
低レーダー反射の先進技術実証機
試験用実機試作へ

軽装甲機動車のルーフに設置し車内から遠隔射撃を可能とする「リモート・ウエポン・ステーション」のイメージ図
技術研究本部の21年度予算案は、次期固定翼哨戒機(PX)・次期輸送機(CX)開発などに伴う歳出化経費が大幅に減ったことから、前年度比523億円減の1308億円。内訳は人件費87億円(1億円増)、歳出化経費928億円(544億円減)、一般物件費293億円(20億円増)。契約ベース(物件費)は20億円増の1200億円と横ばいで、後年度負担は増減なく907億円。
研究開発項目は、技術開発が5件461億円、技術研究が19件356億円となっている。(カッコ内数字の太字は新規)
【組織改編】(1)宇宙基本法施行に伴い、宇宙装備・器材の調査研究を行う部門として、先進技術推進センターの先進技術担当研究管理官の下に「宇宙技術計画室」(仮称、3人)を新設。
(2)IED(即製爆発装置)に対処するため、探知・検知・識別の研究に当たる要員1人を増員。
【航空機】(1)将来の国産ステルス戦闘機開発に向け、先進技術実証機の研究に本格着手。低レーダー反射、エンジン推力偏向による高機動化、複合材料による軽量化などを目指し、飛行試験用に実機1機を試作。期間は27年度まで、総経費は394億円。21年度は85億円を投入。
(2)JAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で将来ヘリコプターの開発に向けた全天候対応駆動システムを研究。他に(3)3次元高精度方探システム(4)ヘリ機体強度を高める耐衝撃性構造の各研究。
【誘導武器】(1)弾道ミサイルを迎撃するため、イージス艦搭載のSM3ブロックIAの後継となる新誘導弾を日米共同で開発。21年度は「試作その4」で、234億円。他に、(2)将来ネットワーク型多目的誘導弾システム(3)先進SAM要素技術の各研究。
【火器・車両】(1)車両搭載用リモート・ウエポン・ステーションの研究=装輪車両のルーフに設置された機関銃など小火器を車内から遠隔操作するシステムで、隊員の安全化を図る。23年度まで。
(2)機動妨害システム=対人障害システムの後継で、センサーにより接近する敵を探知、射程内に入ったところで遠隔操作により地面に仕掛けた威力体を発射、空中で散弾を破裂させ侵入を阻止する。威力体は複数個が装填され、連続発射が可能。23年度まで。
(3)IED対処システム=道路脇などに仕掛けられた即製爆発物を探知するため、IED離隔探知識別装置と爆発物検知識別装置を搭載した車両システムの研究。24年度まで。他に、継続で(4)機動戦闘車(5)高精度火力戦闘システム。
【艦艇・水中武器】(1)無人航走体構成要素=水上艦艇から遠隔操縦する無人艇の研究。無人水中航走体(UUV)は海中の機雷などを探査、無人水上航走体(USV)は不審船や海賊船の追尾などに活用できる。データ伝送、自律航走制御、並列航走制御などを研究。25年度まで。
他に、(2)艦艇初期検討評価技術(3)回転翼哨戒機対潜能力向上(4)被探知防止・耐衝撃潜水艦構造の各研究。
【電子機器】(1)自衛隊デジタル通信システム(戦闘機搭載用)=飛行中の空自戦闘機と地上の防空監視所、前線航空統制官などをネットで結ぶシステムで、戦術情報をリアルタイムで共有できる。対象戦闘機はF15非近代化機とF2。25年度まで。
(2)空自レーダーサイト、海自イージス艦、赤外線センサー搭載機などを連接し、将来の経空脅威に対応できる「統合防空システム・シミュレーション」の研究に着手。24年度まで。
他に、(3)新野外通信システム(4)戦闘機搭載型電子防御装置の開発(5)混信分離実験装置(6)2波長赤外線センサー技術の各研究。
【その他】(1)先進個人装備システム=陸自普通科隊員にヘッド・マウント・ディスプレー、ウエアラブル無線機、バイタルサイン・センサーなどを装備してネットワーク化、多様な事態への対処を可能にする。24年度まで。
(2)時速60キロで移動できる陸上無人機(車両)の遠隔操縦法を研究。
【性能確認試験】(1)次期固定翼哨戒機(P1)の飛行試験を継続。機体強度問題で開発が遅れる次期輸送機(CX)も必要な補強を行い、飛行試験の早期実現を図る。(2)19〜21年度に試作された「新対潜用短魚雷(GーRX5)」の実射試験を実施。
【研究用機器・施設】(1)札幌試験場空力推進研究施設の中圧空気源装置のうち、圧縮機駆動ガスタービンエンジン1台を更新。(2)航空装備研究所(立川)などに電力を給電する特高受電所の立て替えを実施。