11月の朝雲ニュース

11/27日付

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ソマリア沖海賊行為への日本の対応に関する提言
日本財団 海洋政策研究財団

 日本は、国家存立の生命線であるシーレーンの安全確保のため、また国際社会の平和と安全の維持に協力する観点から、ソマリア沖で多発する海賊行為の防止(防止・抑止・排除)に、国家として積極的に取り組むべきである。
 そのため日本は、
 1 国際連合安全保障理事会、同総会、他の関連する国際会議等の場において、国際社会に対し、ソマリア沖で頻発する海賊行為の防止に向けた更なる取組みを働き掛けるべきである。
 2 ソマリア沖の状況ならびに国際連合安全保障理事会決議第1816および1838を勘案し、海上自衛隊の艦艇等による部隊をソマリア沖に派遣すべきである。
 ソマリア沖の海賊行為は増大し凶悪化していることに鑑み、海上自衛隊の艦艇等の派遣は可及的速やかに実施されるべきである。
 a そのため、先ず、現行法の下、艦艇等を、調査し状況を把握するために、ソマリア沖の公海上に直ちに派遣すべきである。派遣された艦艇等は、『海洋法に関する国際連合条約』第100条(海賊行為の抑止のための協力の義務)に沿った行動を予定し、他国艦船に情報を提供することなどを実施する。なお、調査研究活動において対象船舶に特別の制限は無い。
 b 同時並行的に、政府は、現場海域で海賊船による他の船舶への海賊行為が行われている状況を把握し、自衛隊法第82条の「海上における警備行動」発令の要件が満たされていることを確認した上で、同行動の発令を決定して適切に対処すべきである。
 この場合、海上保安庁法第16条を準用して、海難救助や犯人逮捕その他非常事態に際し付近の船舶に協力を求めることができ、また、海上保安庁法第17条1項を準用して、停船させ立入検査し質問することができ、更には、海上保安庁法第18条を準用して、出発を差し止め、あるいは航路を変更させ、指定する場所に移動させることができる。このことは、国際法上も、『海洋法に関する国際連合条約』第105条および107条によって認められている。
 武器の使用については、警察官職務執行法第7条を準用して、犯人の逮捕、逃走の防止、自己もしくは他人に対する防護または職務執行に対する抵抗の抑止のために必要と認められる相当の理由のある場合、その事態に応じて合理的に必要と判断される限度において認められる。
 なお、対象船舶は、自衛隊の艦艇の行動であることに鑑み、日本国籍船、日本人搭乗船、日本船社の支配する便宜置籍船、日本仕向け・仕出し貨物搭載船となる。
 c 「海上における警備行動」の発令が長期に亘ることが予想され、あるいは同行動時における権限の範囲内では海賊行為の阻止を目的とした国際協力において十分に実効が挙げられないと考えられるので、ソマリア沖の海賊行為に有効に対処するための特別法「海賊取締法(仮称)」を可及的速やかに制定して対応すべきである。
 特別法では、海賊行為を実施しようとしている船舶の近傍海域への威嚇射撃、船体への威嚇射撃、航行不能化のための射撃を、順を追って実施できるものとし、乗船検査に武力で抵抗する海賊に対しては危害を加える射撃を許可することにより、海洋安全保障に対する国際的協力の枠組みの中で効果的な活動が実行できる。
 特別法により、日本関係貨物を積んでいない外国船も、取締り活動の対象となる。また、特別法の制定に当たっては、本格的な海賊防止活動が可能となるよう、執行管轄権の行使と合わせ、司法管轄権を行使できるよう所要の検討を行うべきである。
 同一の海域で行動する他国の海軍艦船等とは、情報の交換に努めると共に、必要に応じて海賊行為阻止のために連携した行動をとるべきである。
 3 ソマリア沖で多発する海賊行為は、ソマリアの内政混乱と治安悪化が大きな要因の一つである。国際社会に対し、ソマリア復興支援のための取組みを働き掛け、海賊の温床となっているソマリア沿岸域における産業基盤の構築といった貧困対策への資金や技術の提供、海賊行為の監視・取締りのためのレーダー設備やその他器材の提供、といったソマリア国内の生活と治安の安定化に向けた様々な援助を提唱すべきである。
 4 インド洋での海上自衛隊の艦艇による補給活動は、かかる情勢を考慮すれば、海洋安全保障の国際協力活動であり、これを更に継続すべきである。
 5 本提言に基づいて決定される措置は、ソマリア沖の海賊行為に限定することなく、必要に応じて他の地域にも適用すべきである。その場合、まずは海上保安庁の船舶等の派遣が考慮されるのは当然である。
 6 国境を越えて行動する海賊は人類共通の敵であり、世界の平和と安全を脅かすものである。海賊への対応は、国際的な平和執行活動あるいは法執行活動として捉えるべきであることを、イニシアティブを発揮して国際連合安全保障理事会に働き掛けるべきである。
 上記提言は、ソマリア沖海賊対策緊急会議(平成20年11月14日、於東京)において発表された。