素顔の東ティモール<6>
小泉 友子
寝ている男と働く女
子沢山社会、21人兄妹も
キリスト教徒の行事で伝統衣装のタイスをまとった東ティモールの女性たち(ロス・パロス県で)
■タイス市場にて
首都ディリの一角にタイス市場がある。タイスとはテトウン語で織物という意味で、この国の数少ない土産物の一つである。粗末なバラック小屋で、地方から安く買い付けたタイスを所狭しと並べて売っている。そんな小屋が何軒も集まったのがタイス市場である。
この国の織物はインドネシアのイカット織りに似ているが、柄や色合いが多少違う。ストライプ状のものが一般的である。中には日本の紺がすりを思わせるものもある。
さて、このタイス小屋は店の奥が家族の生活の場になっていて中の様子が伺える。午前中は男性が張り切って呼び込みをやっているのだが、午後は大抵奥で寝ている。地べたに板を敷いただけの寝床はあまり心地良さそうには見えない。男性が寝ている一方で、女性は起きて働いているのが対照的だ。
この国ではしばしば、「男は怠け者で女は働き者」と言われるのを耳にする。昼寝をしたり、賭けカードに興じる男の傍らで子供をあやしながら働いている女性を見ると、なるほどと実感してしまう。法律上でも社会生活でも男尊女卑が根強く残っているのを感じる。
怠け者呼ばわりされる男性だが、彼らに言わせると男の価値は子孫をどれだけ残したかによるのだという。昼間寝ているのも子作りに精を出したからだとも。そのせいか、この国の家庭はみな子沢山である。我が家の隣のコンパウンドで働いていた従業員の中にも21人兄妹を持つ女の子がいて、彼女のお父さんは2人の女性(敬虔なカトリック信者なので、一人は妻で一人は愛人)とそれぞれ10人と11人の子供を作った。
寝ている男の傍らで女が働いている光景は女性の立場から見ると公平とは思えないが、それが不幸であると決めつけることもできない。昼と夜、男と女のバランスを彼らは彼らでうまくとっているのかもしれないのだから。
(続く)