監察本部
9月1日で発足1周年
手法確立など課題
不祥事相次ぎ 実務と体制固め並行
昨年設置された防衛監察本部(桜井正史防衛監察監)が9月1日で創設1周年を迎える。同本部は防衛施設庁の入札談合や自衛隊での情報流出、薬物使用などの不祥事が相次ぎ、再発防止の観点から防衛省・自衛隊の組織や業務全般を独立した立場からチェックする防衛大臣直轄の特別機関として設置された。発足間もなく前事務次官が収賄容疑で逮捕されるなど、防衛省全体が不祥事に揺れる中、同本部では監察要員の育成をはじめ、監察手法の確立、組織体制固めなど多くの課題に取り組んでいる。
会計監察と法令順守の2本柱で
防衛監察という言葉自体、聞きなれない新分野の業務だが、同本部は防衛省内局をはじめ、各自衛隊、技本、防大、防医大、防研など各機関が行う事務に対して、法令順守の観点から職務が適正に執行されているかどうかを計画的、あるいは臨機に検証し、改善点を発見して必要な措置を大臣に報告するのが仕事だ。
具体的には予算の適正、効率的な執行を確保するための「会計に関する監察」と、法令に従った業務が行われているか否かの「法令順守に関する監察」の2本柱。いずれも不祥事の早期発見と抑止が主な目的で、社会的影響が大きく防衛省・自衛隊全体の信頼を失墜させる恐れのある事案や、全省的視点に立って行う必要のある事案を対象として監察を実施する。
現在の体制は桜井防衛監察監以下、陸海空自衛官27人、事務官等26人の計53人。組織は総務課と5個監察班で編成。元名古屋高検検事長だった桜井防衛監察監のほか検察庁や公正取引委員会などから出向した人もおり、第三者的な独立機関としての性格を有している。
しかし、監察要員のほとんどは監察業務の経験がなく、人材の育成が体制固めの前提となるため、昨年10月から部外の政府機関をはじめ弁護士や監査法人など民間企業から講師を招き、必要な知識や手法などの習得に着手。
ところが、時期を同じくして守屋武昌前事務次官の接待疑惑が報道され、同月、防衛大臣の指示で「特別防衛監察」を実施することになった。自衛隊員倫理規程が施行された平成12年4月以降の順守状況を監察するというもので、対象は内局の課長相当職と自衛隊の将補以上の合わせて約420人。さらに空自車力分屯基地の幹部らが業者の祝賀会に出席した事案の調査も重なった。
調査結果は今年2月に公表されたが、守屋前次官の事案は逮捕、起訴という防衛省の歴史の一大汚点に発展したため、同本部は作成していた「コンプライアンス・ガイダンス」を11月に急きょ公表し、主要な部隊などに約5000部を配布して法令順守の周知を図るなど対応に追われた。
一方、定期防衛監察も昨年10月から実施。全省的な課題である「秘密情報等の流出防止」では4機関・32部署を対象に、「入札談合防止」では5機関・6部署を実地に監察。20年度の定期監察も5月から着手している。
監察本部の職員は「大臣指示により、抜き打ち監察を活用するなどして、ありのままを見ることに徹している」と話しているが、談合など抜き打ちになじまないものや部隊の実情を考慮すると抜き打ちに徹することができないという実務面の苦労もあり、創設2年目に向けて、課題は少なくない。
上滝守副監察監の話
この1年を振り返ると、発足後間もなくの特別監察の実施や、その一方で定期監察の着実な実施など、皆で力を合わせ監察の体制固めに走りながら取り組んできた。2年目は、省改革の提言を踏まえてさらに態勢を強化し、より国民の負託にこたえる防衛省になるよう取り組みたい。