8月の朝雲ニュース

8/14日付

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林防衛大臣に聞く
補給活動、合意へ努力
防衛省改革「元気に仕事」が目標


福田改造内閣で第5代防衛相に就任した林芳正大臣は8月7日、報道各社の共同インタビューに臨み、来年1月に期限が切れる補給支援新法の延長問題について「テロとの闘いの意義を発信、説明していかなければならない」と述べたほか、防衛省改革など当面する課題への抱負を語った。


「テロとの闘いの意義を発信していかなければならない」と語る林防衛大臣(8月7日、防衛省で)

能力実績主義はそぐわない

−−防衛省改革を今後、どのように進めていくお考えでしょうか。

 林芳正防衛大臣 これは就任のときから何度か申し上げてきたんですが、総理のご指示が、「自衛隊の士気の喚起」、「元気にしてやってくれ」と。それはもちろん国民の信頼回復があって、そのために改革をきちっとやる、こういう手段と目的の関係がありますので、やはり大事なことだと思うんですね。すでに報告書にまとめて頂いていますのでこれを着実に実行していくということです。実施計画を今月中に取りまとめることになっていますので、そこにある程度の行程というかロードマップが出てくるかと思います。

−−大臣は公務員制度改革に深くかかわっていますが、防衛大臣に就任されたことで、今までと違った切り口で防衛省改革を進める考えはありますか。

 林大臣 防衛省は自衛隊という組織がありますので、一般的な霞ヶ関の改革とは違うところがあります。一方、大きく言えば公務員ですから、私も党で行政改革の仕事を6、7年やってきましたし、内閣府(副大臣)のときは国家公務員法の改正に携わったので、一般的なこうやったらこうなるとか、国家公務員の能力実績主義についてある程度知見があるので、その尺度を持って防衛省改革に当たりたいと思います。
 内閣府のときは霞ヶ関全体でしたから、各省それぞれカラーがあって、全部同じような原則でやるわけにはいかない。企画立案が主な役所と防衛省、警察といった実力を行使するようなところは、自ずからどういう組織でやっていくか、リクワイアメント(要求仕様)はちょっと変わってきます。防衛省はその典型だと思いますので、その特色を生かしながら、しかし、全体として公務員が国民の皆さんにどうやっていいサービスを効率的に提供できるかという原則がありますから、国家公務員法の改正もここまできていますので、遜色のない仕上がりにしていかなければいけないと思っています。それから政と官の関係も並行して議論されていますので、きれいに整理して、少し先に視野を置いて中期的に持つようなものをつくっていきたい。

−−そうすると大綱の中に防衛省の将来像を含めていくことになりますか。

 林大臣 それはどうでしょうか。安全保障環境があって、それに対してどうするかということですから、ここに組織論が入ってくるのは性格的に違うかなという感じはしています。

−−能力実績主義を公務員全体に導入する動きがありますが、防衛省・自衛隊に関してはどうですか。

 林大臣 企画立案という省庁だと、個人でいい仕事をしてもらう、例えばエコノミストみたいな人、そういう人を育てないといけませんが、一方、防衛省や警察というのはチームプレーなんですね。だから組織や命令系統がしっかりしているかということが重視される。個人の能力を評価する能力実績主義は試行に入っていますが、自衛隊員の一人ひとりを経済財政諮問会議のエコノミストと同じようにやるというのは現実的ではない。防衛省に合った工夫をしないといけないし、総理のご指示にあった「元気に仕事をしてもらう」というのが目的ですから、そのためにどうしたらいいかという視点で、応用編でやらないといけないでしょうね。

−−インド洋で行っている給油活動の継続に向けて、補給支援新法の改正案をねじれ国会の中でどのように成立させていくお考えですか。

 林大臣 期限が切れた後の扱いについて、いろいろな議論があることは私も承知していますが、まだ政府としての方針を決めていないということをまず申し上げたいと思います。あと1カ月すると(米同時テロの)9・11がやってきます。日本人の犠牲者も出ているわけです。私が申し上げるまでもなく、そのテロとの闘いを40カ国以上が、いろんな形で犠牲も払いながらやっている。どうやってやるかということになるといろいろな議論があるわけで、これしかないんだと決めつけるつもりはありませんが、全体として何かやるべきだということについては大きなコンセンサスがあると思いますので、そういう点を議論して、まとめる方向で努力するのが我々の役割と思っています。

−−与党内では公明党を中心に衆議院の3分の2を使った再可決を避けたいという意見が強いようですが、かといって民主党は賛成しない。どうしますか。

 林大臣 こういうことは最初から全部作戦を立てて「このようにします」とは言えないんですね。基本的には大きな意味でのテロとの闘いの意義というものを発信、説明していかなければならないと思います。その中で、この活動にどういう意義があるのか、それ以外の活動がもしありうるとすればどういうメリットやデメリットがあるのか、このへんをよく整理して説明していくということではないかと思います。

−−「これしかないというわけではない」と言われましたが、今の補給活動に代わる別のやり方とか、もしくは一時的な活動の中断も止むを得ないという考えもあるのでしょうか。

 林大臣 「これしかないんだ」という意味は、誰がなんと言おうと聞く耳は持ちませんとか、これ以外の検討はしませんという態度では物事はなかなか進まないという意味で申し上げたので、今やっていることはいろいろな検討を経た上での一つの重い事実としてあるわけで、これがベースであるということは言うまでもないことと思います。

−−自民党の麻生幹事長がタンカーの護衛ということを提言していますが、大臣はその案についてどういう見解をお持ちですか。

 林大臣 幹事長に直接聞いていないので、具体的にどういうことをおっしゃっていたのか、報道でしか承知していませんが、どういう法律でどういうことをやるのかという頭の体操をしますと、なかなか容易にできないのかな、という感じはします。これはあくまで一般論ですが。

普天間移設
丁寧に議論重ねて必ず実現させたい


−−普天間基地の移設問題については、日米合意と、沖合移設を求める地元の食い違いがあります。この溝を埋めて一致点を見出せるでしょうか。また、2014年までの移設完了という予定について、変更はないのでしょうか。

 林大臣 これはもうそもそも飛行場の周辺の方の危険性や騒音の軽減がメーンの話ですから、まず絶対に実現しなければならない。今の案は、これも何度も言っていますが、合理的な、いろいろなバランスが保たれていますので、合理的な理由なしに変更というのはむずかしい。その中で、やっぱり最終的に詰めていくときにどこかに一致点を見出さなければいけません。8月5日に二つの実務者のワーキングチームが始まっていますので、細かく丁寧に議論をしていく中で、良い案を作っていくために努力するということです。

−−もうすぐ沖縄国際大学のヘリ墜落事故から4年たちます。普天間の危険性除去についてワーキング・グループでの検討がはじまっていますが、県側は危険性の除去について普天間飛行場の閉鎖を求めています。政府は代替施設以外に危険性除去を進める上で別の考え方があるのでしょうか。また、沖縄に行かれる予定があれば聞かせてください。

 林大臣 とにかく出来ることからやろうということでワーキングチームも始まっていまして、航空機航跡調査をやるために航空機の航跡観測装置というものをつけて、どのへんを飛んでいるか、そのデータを整理・分析し、場周経路から出ているというようなことのないようにするといった環境整備も進める。そういうことを一つ一つ丁寧にやっていって、地元の皆さんがなるべく納得していただける方向に進めていきたいと思っています。
 最初の記者会見でも申し上げましたが、私も地元に岩国基地があり、実際そこに行ってみることは非常に大事だと思っています。先般沖縄の知事が表敬にきて頂いたときに、早い機会にということでしたので、私もなるべく早く沖縄に行きたいと思っています。

−−クラスター弾の廃棄については、抑止力維持の観点から、どのように廃棄・代替措置・再利用をしていくのかお伺いしたい。

 林大臣 今、鋭意調整を、概算要求をやっていますので、まだ具体的に申し上げられないが、防衛省の立場から言えば、代替とか破棄となればいろいろな費用が出てきますので、トレードオフをうまく調節する必要があるように思います。

−−概算要求は抑制基調にありますが、大臣としてのカラーを出すような考えはありますか。

 林大臣 党にいたときは財政再建、無駄撲滅というのをやっていましたが、誤解が出やすいのは、財政再建というとどんどん切るというようなイメージがありますが、メリハリが必要なんですね。だから必要なところにきちっとお金をつけるということがないと、財政再建といっても、数字で毎年数パーセント削っていくとそのうち予算はなくなっちゃう。そういうわけにはいかないですから。無駄撲滅でもやりましたけれども、まったく無駄なものと、中長期的には必要だけれども、こういう状況で今年どうしてもこんな金額がいるのかと、いろいろなグレードがある。ですから必要なものはきちっとやっていくという基本的な考え方で概算要求をやっていく必要があると思います。