事件・事故要因 検討会議で分析
根本に幹部不足 社会環境変化も影響
事件・事故など不祥事の再発防止策を検討する防衛省の「抜本的対策検討会議」の3回目の会合が5月23日に開かれ、「不祥事等の背景・根本的要因」について内局、陸自、空自のケースを中心に検討が行われた。
「事件事故の根絶に向けた対策を」と、抜本的検討会議であいさつする石破防衛相(5月23日、防衛省で)
内局は昇任時のチェックが必要
陸、空自については組織の抱える問題点を中心に、不祥事の発生状況や背景的要因、今後実施すべき施策などが話し合われた。
陸自は最近5年間で、懲戒処分に該当する悪質な事故や私有車両事故が減少傾向にある半面、自殺や理由のない欠勤、暴行・傷害など服務規律に違反する事故が増加傾向にある。社会的に特異な重大犯罪ではタクシー運転手殺害事件や国会敷地内での自殺未遂のほか、薬物事案や武器紛失事案などが発生している。
これらの背景として一般的に精神疾病や、いわゆるキレやすい人の増加、薬物を入手しやすい環境など社会の変化が組織内にも影響しているとの指摘がなされた。
陸自では幹部の低充足で一人当たりの業務量が増大し余裕がなくなっていること、幹部の任用区分が部内選抜幹部は3佐以下のため准尉・曹長経験幹部の意欲が低下しかねない側面がある、などの指摘もあった。
陸自ではこれまで、自衛官としての資質を重視した服務態勢や任期制陸士の3、4月期以外の採用の見直し、幹部任用区分の比率見直しによる1尉〜3佐クラスの将来的な定員と現員の是正、上級曹長制度の全国的試行などを実施してきたが、今後は健全な組織維持のための「量」と「質」の確保、部隊への帰属意識や連帯感、一体感の向上をはじめ、精神疾病への適切な対応が必要としている。
空自に関しては、組織が抱える問題点として、指揮官の適切な命令・指示の徹底、隊員一人ひとりに十分に目が行き届くよう、指揮官は部下隊員の現状を比較・評価するなどし、情熱をもって任務遂行に努力するような状態をつくること、准曹士先任系統による隊員指導、隊員に誇りを持たせること、公正性を重視した人事などが挙げられた。
一方、内局については守屋武昌前事務次官の収賄事案の構図や問題点、背景などをもとに、「内局幹部職員の危機対応の体制・意識に不十分な面があった」と総括。改善の方向性として(1)上級職員の採用を増やし、幹部候補要員の層を厚くする(2)幹部昇任に際して評価システムを導入しチェック体制を強化(3)緊急連絡体制の充実・改善を図り、幹部職員の緊張感の維持・増進を図る−−などの必要性が指摘された。
このほか装備品等の選定・調達制度では、総合取得改革推進PTの報告に基づき、調達改革を着実に推進していくことを確認した。