4月の朝雲ニュース

4/3日付

ニュース トップ

19年度末 陸海空部隊新改編
“即応”の体制へ


国際平和活動や災害救援が自衛隊の本来任務となり、さらに近年、インド洋給油活動や弾道ミサイル防衛など新任務が加わる中、統幕・3自衛隊のかつてない大がかりな部隊新改編が19年度末、各地で一斉に行われた。多様な事態を想定、限られた人員・予算の中でベストな態勢を探る新改編のキーワードは「即応」だ。

国際活動の新戦力
中央即応連隊 宇都宮で隊旗授与式


国際協力活動の中核となる中央即応連隊の隊旗授与式で、折木陸幕長から連隊旗を受ける山本雅治連隊長(右)(3月30日、宇都宮駐屯地で)

「中央即応連隊」の隊旗授与式は3月30日、折木陸幕長、泉東方総監、山口即応集団司令官はじめ国会議員、地元首長や隊員家族ら約750人を迎え、桜の咲き始めた宇都宮駐屯地で行われた。
折木陸幕長は初代連隊長の山本雅治1佐に連隊旗を授与後、訓示。「中央即応連隊は近接戦闘に任ずるとともに国際平和協力活動などに迅速に対応するため編成された陸自初の部隊」と期待を表明。「一致団結して困難を克服、任務を完遂するための不撓不屈の気概を涵養し、即応性ある活力に満ちた連隊育成に精進を」と激励した。
これに対し、山本連隊長は「祖国日本のため、正義と信義に基づき、命をかけて任務を必遂すべく精進することを誓います」と答えた。
部隊はその後、軽装甲機動車や装輪装甲車で観閲台前を行進、4月から各種事案に備え待機任務に入る4個中隊の威容を披露した。
中央即応連隊は国連平和維持活動や国際緊急援助活動、在外邦人等の輸送任務で先遣隊を務める専門部隊のため、短時間で設置が可能な折り畳み式のドーム型天幕や、安全を確保するための警戒監視塔、周辺警戒用の遠距離監視装置などを装備、さらに宿営地造成のための大型施設器材なども保有。
山本連隊長は記者会見で、「中央即応連隊は国の防衛から海外任務までオールラウンドで全部やる。隊員は前向きで、やる気のある者に集まってもらった。地元の方々や隊員家族の理解を得て、国内外とも何かあったら迅速・確実に対応していきたい」と抱負を述べた。

特殊武器防護隊、対特殊武器衛生隊も


中央特殊武器防護隊の編成完結式で整列した各隊を巡閲する宇都宮昭栄隊長(3月26日、大宮駐屯地で)

【即応集団=朝霞】「中央特殊武器防護隊」の編成完結式が26日午後、大宮駐屯地で、また「対特殊武器衛生隊」の編成完結式が同日午前、朝霞駐屯地でそれぞれ行われた。
中央特殊武器防護隊の編成完結式では山口CRF司令官が「何が起きても不思議ではない時代に対応できるよう努力を」と、101特殊武器防護隊から改編された隊員に訓示した。同隊は2個特殊武器防護隊からなり、化学・生物・放射能への対処や対発煙・焼夷能力が備わっている。
一方、対特殊武器衛生隊の編成完結式では田中CRF副司令官が司令官訓示を代読、「早期戦力化と現有能力の最大限発揮」「関係部隊との連携の保持・強化」「プロ意識の保持」の3点を要望した。
同隊は日本で唯一、生物剤に対処可能な衛生科部隊で、各種治療用資機材を装備している。

新生ヘリ団
輸送ヘリ群など新編


新生1ヘリ団を車両で巡閲する福盛裕一団長(3月29日、木更津駐屯地で)

輸送ヘリコプター群などが新編され、空挺団や中央即応連隊の空中機動などを支える新生第1ヘリコプター団の編成祝賀式が3月29日、木更津駐屯地のエプロン地区で行われた。
昨年3月30日夜、鹿児島・徳之島で急患輸送に向かう途中に墜落したCH47輸送ヘリの殉職隊員に黙とうを捧げた後、開式。
廃止・新編部隊の紹介に続いて福盛ヘリ団長が車両で各種航空機を前にした部隊を巡閲。福盛団長は式辞で「ヘリ団は過去に類をみない大改編を実施し新生部隊としてスタートした。これを機にいま一度原点に立ち返り、新編部隊の早期戦力化のため訓練に励み、即応する部隊として鋭意努力していきたい」と決意を述べた。
続いて来賓を代表し、元防衛庁副長官の浜田靖一衆院議員が「皆さんは行動する自衛隊の象徴であり、国民の誇り。実力を養成し、国の守りのゴールキーパーとしてしっかりと頼む」と激励した。
その後、連絡偵察機と各種ヘリが一斉に飛び立ち、上空を編隊で航過。その後、空挺団員も加わり上空からの対地制圧作戦の状況が展示され、ドアガン射撃では新装備のUH60JA多用途ヘリだけでなく、CH47型輸送ヘリも左右・後方の3カ所のドア部分に機関銃を据え付け、上空から地上に向けて射撃、この間、空挺部隊を降着させるなど「戦う新生ヘリコプター団」の能力を示した。

総合近代化の「11旅団」誕生


総合近代化旅団として新編された11旅団司令部で門標を除幕する伊藤隆旅団長(左)ら(3月26日、真駒内駐屯地で)

【11旅団=真駒内】3月26日、「総合近代化旅団」11旅団が誕生した。初代の伊藤隆旅団長は、隊員に「あらゆる任務を完遂し得る旅団たれ」と統率方針を示し、「即応性の維持向上」「伝統の継承と創造」の2点を要望した。
一方、11師団は25日付で46年間の歴史に幕を閉じた。廃止される11特連と11後支連の隊旗返還式が同日、駐屯地体育館で行われ、両連隊長から折木陸幕長に隊旗が返還された。

サイバー攻撃への対処を一手に
指揮通信システム隊



指揮通信システム隊の新編行事で訓示する斎藤統幕長(壇上)(3月26日、防衛省で)

サイバー攻撃への対処や防衛情報通信基盤を維持・管理する大臣直轄部隊の指揮通信システム隊が3月26日、市ヶ谷地区に新編され、同日、斎藤統幕長を迎えて防衛省講堂で式典が行われた。
同隊司令の糸永正武1空佐が隊員約160人を代表して編成完結を報告、統幕長は「情報の認知・収集・処理や伝達を迅速・的確に行うことについて相手に優ることは極めて重要。情報優越を達成するため、情報通信の先進技術に対する進取の気概を持ち続けてもらいたい」などと訓示した。
同隊は、自衛隊の指揮命令中枢の中央指揮所(CCP)や骨幹ネットワークの防衛情報通信基盤(DII)の維持管理、サイバー攻撃対処機能などのこれまで統幕が果たしてきた機能を発展的に改編、部隊化された。
隊本部、ネットワーク運用隊、保全監査隊、中央指揮所運営隊で編成、統合運用を情報通信面から支える初の常設部隊だ。

新たな歴史づくりへ
海23空 人員・ヘリを増強


新編された海自第23航空隊(舞鶴)は隊員数が約170人増えて約500人に、これまで6機保有していたSH60J/K哨戒ヘリも12機に倍増した。
3月26日には隊司令の渡辺剛次郎1佐が隊員を前に訓示し、「自分が23空の隊員であるというプライド、帰属意識を持って一体となって23空という一つのフネを動かしてほしい。地域の人々に信頼され、誇りにされるような航空隊を目指してほしい」と要望。指導方針として「行き足」を挙げ、「上級者は強い指導力をもって、若い者は生意気といわれても自分はどうしたい、何をしたいという有言実行の行き足を持て。今日からこの新しい部隊の歴史を作っていくのは諸官一人ひとりだ」と激励した。

2移警隊が編成完結
入間 9移警隊、幕閉じる


空自では全国の移動警戒隊を「各方面隊1移動警戒隊」体制にスリム化再編する第1弾として、中警団隷下の9移警隊(小松)が3月16日に廃止され、同隊の隊員約20人と主要器材が同26日、中警団隷下の2移警隊(入間)に統合された。
26日、入間基地で行われた「2移警隊編成完結式」には、片岡中空司令官、広中中警団司令をはじめ、2移警隊長の田辺光一郎2佐以下同隊と中警団の隊員を中心に計約200人が参加。田辺2移警隊長が編成完結を申告した後、広中団司令が、「わが国を取り巻く国際情勢の中で移動警戒部隊に課せられている防空作戦の原点である警戒監視任務を確実に遂行することこそ、国家・国民の負託に直ちにこたえることと確信している。機動部隊隊員らしく明るく元気でたくましい部隊創設に努力を」と訓示した。
これに先立ち3月16日、小松基地で9移警隊の運用終了記念式典が行われ、石野貢三小松基地司令、広中中警団司令、歴代9移警隊長や基地所在部隊長らが参加した。9移警隊長の坂下雄介3佐が運用終了を報告、指揮官旗が返納されると、広中団司令が「諸君は9移警隊での勤務を大いに誇りに思ってほしい」と訓示。
続いて石野小松基地司令が「日本海正面の防空の要である小松で、9移警隊は警戒監視能力、機動展開能力、自己完結能力など優れた能力を持って活動した」と21年間の功績をたたえた。
9移警隊は創設以来21年間、機動展開訓練93回、レーダー中断対処23回、総走行距離142万キロ余無事故の実績を記録。廃止に伴い同隊の半数の約20人が2移警隊に、残りは全国部隊に散らばった。新たにスタートを切った2移警隊は昨年12月27日、創隊30周年を迎え、今後は中空エリア唯一の移動警戒部隊として警戒監視の任務を担う。