3月の朝雲ニュース

3/27日付

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3事案(衝突・情報流出・火災)で調査報告
石破大臣「速やかに再発防止策」


海自のイージス護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」との衝突事故を調査していた防衛省は3月21日、海幕艦船事故調査委員会による調査の中間報告を公表するとともに、昨年12月に発生した護衛艦「しらね」の火災、同1月に判明したイージス艦中枢情報流出に関する調査結果も併せて発表した。石破防衛相は記者会見で「防衛省・自衛隊を預かる者として改めて国民にお詫び申し上げ、調査で明らかになった具体的な問題点を踏まえ、再発防止策を速やかに実施したい」と陳謝、同時に一連の事案の関係者88人に対する懲戒処分を行った。


3事案の調査結果をもとに記者会見する石破防衛相(3月21日、防衛省で)

関係者88人の処分発表

同日に行われた記者会見で石破防衛相は、海自イージス艦中枢情報の特別防衛秘密流出、護衛艦「しらね」の火災、護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故について、それぞれの調査委員会が進めてきた調査結果を発表した。
これら3事案の概要を説明した後、石破防衛相は「あってはならない、これらの不祥事や事故が発生したことを受け、防衛省・自衛隊を預かる者として、改めて国民に深くお詫び申し上げる」と陳謝した。
その上で石破大臣は「このような不祥事や事故の再発防止のためには、単なる対症療法的な対策にとどまることなく、何が根本的な要因なのか、背景や要因を改善するためにはどうすればよいのかなどについて、虚心坦懐に考える必要がある」として、抜本的な対策を検討するため、大臣を長とする有識者を交えた検討会議を早急に設置する意向を明らかにした。
また、一連の調査結果を踏まえ、事務次官、統幕長、海幕長など、事案の関係者88人に対する懲戒処分を発表。大臣自身も給与月額と議員歳費月額の差額に相当する額の2カ月分、副大臣、政務官は同1カ月分を国庫に返納することを明らかにした。一方、「あたご」乗員の処分は、調査結果を踏まえて検討するとした。
同会見で石破大臣は特別防衛秘密流出について、「隊員の保全意識の欠如や秘密保全態勢の不備などの問題があった」として、「情報流出対策会議で講じられた再発防止対策を実施するとともに、官邸の防衛省改革会議の議論を踏まえた対策も講じる」と述べた。
「しらね」の火災については原因を断定できなかったものの、CIC(戦闘情報センター)冷蔵庫の上に置かれていた冷温庫付近が最も早く燃え出したことが疑われていると指摘。艦内巡視の厳格な実施、戦闘区画への家電製品持ち込み手続きの厳格化、消火設備の改善の検討、部内外への迅速確実な報告・通報の徹底などを挙げるとともに、「しらね」は早期に復旧させる必要があるため修理を行うことを明らかにした。
会見では大臣が「あたご」と「清徳丸」の衝突事故の調査報告全文を自ら読み上げ、「未だ当直員の一部は聴取できていないが、本日の発表は、艦船事故調査委員会で確認された現時点における聴取内容について、捜査に支障のない範囲で公表するもの」と説明。
同報告書は「衝突前の見張り員の配置やCICにおける当直員の配置状況も含め、艦全体として周囲の状況等について見張りが適切に行われていなかった」「『あたご』は避航の義務があったが、適切な避航措置をとっていない。衝突直前に『あたご』がとった措置は、回避措置として十分なものでなかった可能性が高い」としている。

秘密保全教育の充実を図る
情報流出対策


イージスシステムに関する特別防衛秘密流出は、昨年1月20日、神奈川県警が護衛艦「しらね」乗員の2曹の自宅を妻の「出入国管理及び難民認定法」違反容疑で捜索した際、特防秘に当たるイージスシステムに関する情報を記録した外付けハードディスクを発見。同12月13日、平成14年当時に艦艇開発隊に所属していた3等海佐B(中間報告中の表記)を逮捕するとともに、同25日までに4人を書類送検した。
報告によると、流出した資料は平成9年ごろから12年ごろにかけて、プログラム業務隊の3等海佐G、H、Iが米留で得た特防秘を含む知識、資料を基に作成した「イージス概要」という教育用資料。Bは「イージスシステム幹部課程」履修のため米国に留学することになり、参考のため「イージス概要」を私有パソコンにコピーした。
Bとともに留学した1術校勤務の3等海佐Cは帰国後、「イージスシステムの概要」という教務を担当することになり、参考となる資料の送付をBに依頼。Bは「イージス概要」をCDにコピーして送付。以後、「イージス概要」は米留、入校などの際の参考、教育用に次々とコピーされ、広がっていった。
一方、1術校(江田島)の砲術科教官を務めていた2等海佐Jは、12年8月ごろ、米留で得た知識をまとめた「誘導武器システム」と題する資料を作成。こちらも同校の各課程学生に流出した。
報告では問題点として(1)隊員の保全意識の欠如(2)秘密保全態勢の不備(3)パソコン等の管理態勢の不備(4)管理者、保全責任者の注意義務違反、指揮監督不十分−−の4点を指摘。再発防止策として、秘密保全に関する教育の充実や情報漏えいに関する処分基準の明文化、ファイル暗号化ソフト導入などの対策を講じている。

艦内巡視など厳格に実施へ
「しらね」火災


護衛艦「しらね」の火災は昨年12月14日、CIC(戦闘情報センター)で発生。射撃指揮装置や航海レーダー、水中攻撃指揮装置などを含むCICが全焼した。
報告によると、火元はCICの右舷側後部の冷蔵庫の上に置かれていた冷温庫付近で、冷蔵庫は電測員全員で購入したものを手続きに従ってCICに持ち込んでいたが、電測員個人が購入し、全員で使っていた冷温庫はこの手続きを踏んでいなかった。
「しらね」の供給する電圧はAC115ボルトだが、冷蔵庫、冷温庫とも変圧器を使わず、AC100ボルトのまま使用していた。自衛艦乗員服務規則では、船務長は船務科員に対して事故防止に関する指導教育を行い、監督する責務があるが、変圧器を使うなどの指導を行っていなかった。
再発防止策としては、艦内巡視の厳格な実施、戦闘区画への可燃物持ち込みの厳格化、火災感知器や警報装置など消火設備の増設や改善といった対策を実施。
また、「しらね」は今後、除籍艦艇などから最大限の部品転用を行い、数年をかけて段階的に復旧を図る。費用は約60億円。