1月の朝雲ニュース

1/3日付

ニュース トップ

20年度防衛関係費政府案・詳報
MD充実に1338億円


20年度の重点施策
 1 安全保障環境を踏まえた防衛力の近代化
 ○海洋安全確保のため、哨戒能力を向上させた次期固定翼哨戒機(PX)を導入。
 ○防空能力の強化のため、現有のF15戦闘機の近代化改修を促進。
 ○最先端の航空機技術と優れた国産技術力を結集した先進技術実証機研究に着手。
 2 政策立案機能や情報保全機能を強化するための組織作り
 ○組織改編等を通じて政策立案・危機対処能力を強化。
 ○わが国の防衛上必要な情報を適切に管理・保全するため、情報保全部隊を集約・統合化。
 3 国際社会の平和と安定のための取組
 ○これまでの国際平和協力活動の実績を踏まえ、装備品を改善・充実。
 ○国際平和協力活動に係る常日ごろからの教育・広報体制を充実。
 4 効率性と優先度を踏まえた防衛力整備の推進
 ○一括調達を活用しつつ、重要な装備品の優先的な取得を効率的に実施。
 ○部隊の能力の維持を図りつつ、総人件費改革を推進。
 5 弾道ミサイル攻撃への対応
 ○弾道ミサイル迎撃システムの導入と運用本格化にあわせ、運用基盤を充実・強化。
 6 新たな脅威や多様な事態等への対応
 ○テロやゲリラ、特殊部隊による攻撃から大規模災害に至るまでの様々な事態に迅速な対応を可能とする装備品の整備を推進。
 7 在日米軍再編のための取組
 ○抑止力を維持しつつ地元の負担を軽減するため、在日米軍の兵力構成見直し等に関連する措置を的確かつ迅速に実施するための施策を推進。
 8 軍事科学技術の進展と情報通信態勢の構築
 ○将来の軍事科学技術の動向を踏まえ、先進的な研究開発事業等を実施。
 9 人材強化の取組と環境対策の推進
 ○自衛隊の人材強化の取組として、子育てと仕事を両立できる職場づくりや働きやすい環境づくりのための施策を推進。
 10  基地対策等の推進
 ○防衛施設と周辺地域との調和を図るため、基地周辺対策を着実に実施するとともに、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための施策を推進。

 平成20年度政府予算案が12月24日の閣議で決まった。このうち防衛関係費の主要事項は次の通り。(予算額は契約ベース、カッコ内の金額、数は概算要求)

 1 安全保障環境を踏まえた防衛力の近代化
 海洋の安全確保と防空能力の向上のため、能力向上した装備品の取得・改修を推進するとともに、国産技術力を生かした先進的研究に着手する。
 (1)海洋の安全確保のための能力向上=1118億円(1132億円)
 ▽周辺海域の警戒監視能力の向上=現有の哨戒機(P3C)に比べ、飛行性能、探知性能、静粛性などが向上した次期固定翼哨戒機P1(仮称)の取得=新規。
 ▽潜水艦への対応=潜水艦の探知・識別・追尾に係る能力強化。浅海域における潜水艦対処の能力の維持・向上。
 ▽武装工作船等への対応=掃海・輸送ヘリコプター(MCH101)や特別機動船(SB)の取得などにより特別警備隊等の即応態勢を維持・強化。小型水上船舶に対する監視機能の強化、射撃能力の向上。
 (2)防空能力の強化=770億円(1123億円)
 ▽F15戦闘機の近代化改修20機(32機)。近年顕著な周辺諸国による航空戦力の急速な近代化に対応。
 主要な改修内容=探知能力の向上(レーダー換装)、情報処理能力の向上(コンピューターの換装)、ミサイル性能の向上(AAM4、5の搭載用)、戦闘状況表示能力の向上(データリンク端末搭載)
 (3)最先端技術に重点を置いた国産装備品の研究=70億円(157億円)、新規。
 ▽高運動ステルス機技術のシステム・インテグレーション=これまで蓄積してきた先進的な航空機技術の成果を統合。わが国が得意とするレーダー、コンピューター技術等を活用。将来的な小型航空機の技術の向上に寄与。
 研究項目=運動性の向上(エンジン推力の方向転換による急旋回)、軽量化による性能向上(複合材適用率の拡大)、生存性の向上(ステルス性の重視)、探知・識別能力の向上(先進的電子機器の統合による全周域探知)。

 2 政策立案機能や情報保全機能を強化
 防衛省として、政策立案・危機対処能力の強化を図るとともに、わが国の防衛上必要な情報を適切に管理するため保全機能を強化する。
 (1)政策立案・危機対処能力の強化
 ▽人事教育局「給与課」の新設=新規。
 ▽防衛政策局防衛政策課「宇宙・海洋政策室」の新設=新規。
 (2)情報保全組織の見直し
 ▽自衛隊情報保全隊(仮称)の新編=新規。各自衛隊の情報保全隊を統合し、情報保全機能を集約化した自衛隊情報保全隊(仮称)を設置。情報保全隊要員の強化。
 ▽防衛省カウンターインテリジェンス委員会(仮称)の設置=新規。
 ▽保全点検機材等の整備=一部新規。
 ▽教育の充実

 3 国際社会の平和と安定のための取組=221億円(254億円)。
 これまでの国際平和協力活動の実績を踏まえ、装備品の改善・充実を実施するとともに、教育・広報体制の充実等を図る。
 (1)これまでの実績を踏まえた改善・充実
 ▽国際平和協力活動のための装備品の改善=車両等の国際活動仕様化、先遣隊用の各種コンテナ整備=新規。
 ▽夜間洋上補給用スポットライト整備=新規。輸送機への自己防衛装置の整備等。
 (2)国際平和協力活動に係る教育・広報と防衛交流の充実
 ▽国際平和協力活動のための教育・広報施設の建設着手=新規。わが国及び諸外国の活動状況の展示。国際平和協力活動に関する教育と研究・交流。
 ▽防衛交流の推進=一部新規。日豪防衛・外務閣僚協議、日米豪3カ国協議、多国間会議の開催。
 ▽国際平和協力活動に係る教育訓練の推進=多国間訓練(コブラゴールド)への参加、国際平和協力演習の実施。

 4 効率性と優先度を踏まえた防衛力整備の推進
 歳出削減に貢献しつつ、必要な防衛力について優先度を踏まえて整備するため、一括調達など新たな工夫を推進する。
 (1)一括調達の活用による効率性と優先度の追求
 ▽次期固定翼哨戒機P1(仮称)の一括調達4機=現有P3Cより能力が向上したP1を2カ年分一括調達。試算では2カ年に分けて整備した場合に比べ、約110億円を節減。
 ▽戦闘機(F15)近代化改修の一括調達=20機。概算要求では2個飛行隊分の32機を要求。20機分で109億円を節減。
 ▽掃海・輸送ヘリコプター(MCH101)の一括調達=3機。海自特別警備隊の移動や物資等の海上輸送といった新たな任務に対応するため一括調達。2カ年に分けて整備した場合に比べ約29億円を節減。
 ▽89式小銃の一括調達=2万5丁。陸自隊員の個人能力の更なる向上を早期に図るため、全作戦基本部隊に整備。
 (2)新素材を用いた艦齢の延伸によるコストの低減
 ▽掃海艇(MSC)のFRP化=1隻。船体に繊維強化プラスチック(FRP=Fiber Reinforced Plastic)を使用、従来の木造船に比べ艦齢を約2倍、30年に延伸可能となり、ライフサイクルコストを低減。
 (3)総人件費改革への取組
 ▽民間委託等への推進=教育、給食、整備等の分野での民間委託の推進。地方協力本部の援護業務の民間開放及び募集業務の効率化の推進。
 ▽自衛隊生徒制度の見直し=陸自少年工科学校を高等工科学校(仮称)に名称変更し、身分を防大「学生」並びとして募集=新規。海自、空自は募集を終了。
 (4)契約方法の工夫による単価の軽減
 ▽情報システム等借料の複数年度契約化による節減=コンピューター及び複写機等の借料について、従来の単年度契約から複数年契約を行い、業者の中途解約リスク等を節減。

 5 弾道ミサイル攻撃への対応
 弾道ミサイル防衛(BMD)システムについて、迎撃システムの取得が進捗したことを踏まえ、運用基盤の充実・強化を図ることにより、運用の実効性を向上=1338億2700万円(1580億円)。
 (1)BMDシステムの運用基盤の充実・強化=986億5700万円。
 ▽レーダー等の整備=272億500万円。FPS5(旧称FPSXX)の整備等。
 ▽維持・整備態勢の構築=644億2500万円。ペトリオット・システム改修等。
 ▽システム能力の検証=25億2500万円。PAC3ミサイルの発射試験等。
 ▽迅速・適切な部隊配置の実現=21億5500万円。PAC3リモートランチ端末2セットの取得等〓新規。
 ▽部隊の練度向上=23億4600万円。ペトリオット戦術訓練シミュレーターの改修等。
 (2)迎撃システムの整備=149億9900万円。
 ▽BMD対応イージス艦の改修、PAC3の取得。
 (3)研究開発の継続等=201億7100万円。
 ▽イージス艦用能力向上型迎撃ミサイルの日米共同開発等。多国間BMDカンファレンス(会議)への参加等。

 6 新たな脅威や多様な事態等への対応
 テロやゲリラ、特殊部隊等による攻撃や大規模災害などへの対応能力の充実。
 (1)ゲリラや特殊部隊による攻撃等への対応=765億5400万円(1110億円)
 ▽沿岸部等における警戒監視・情報収集=移動監視レーダー等の整備、沿岸監視訓練の実施。
 ▽ゲリラや特殊部隊の捜索、重要施設防護=各種車両、ヘリコプター、無線機の整備。
 ▽侵入したゲリラや特殊部隊の捕獲・撃破=89式小銃を全作戦基本部隊に整備、都市型戦闘訓練。
 ▽警察との連携の強化=治安出動に係る警察との共同訓練。
 (2)核・生物・化学兵器による攻撃への対処=110億5900万円(136億円)
 (3)大規模・特殊災害等への対応=910億9800万円(1099億円)
 ▽人員・物資輸送態勢=輸送用航空機の整備(CH47JA等)。
 ▽災害対処能力の向上=災害対処訓練の実施(自衛隊統合防災演習など)。

 7 在日米軍再編のための取組
 「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」(平成18年5月30日閣議決定)を踏まえ、再編関連措置を的確かつ迅速に実施するための施策を推進する。
 (1)再編関連措置(地元の負担軽減に資する措置を除く)=151億3000万円(171億円)
 ▽キャンプ座間への陸自中央即応集団司令部の移設。
 ▽横田飛行場への空自航空総隊司令部等の移設。
 ▽空自車力分屯基地への弾道ミサイル防衛のための米軍のレーダー・システムの配置。
 (2)再編関連措置(地元の負担軽減に資する措置)の改要求=370億2600万円。
 ▽在沖米海兵隊のグアムへの移転、普天間飛行場のキャンプ・シュワブへの移設、嘉手納飛行場以南の地域の土地の返還、厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐等、相模総合補給廠の一部返還等、嘉手納飛行場所在米空軍機の本土への訓練移転、地域振興策(再編交付金等)。
 (3)SACO関係経費=141億3800万円。
 ▽土地返還のための事業、訓練改善、騒音軽減、SACO事業の円滑化を図る事業。

 8 軍事科学技術の進展と情報通信態勢の構築
 将来の軍事科学技術の動向等を踏まえ、先進的な研究開発を実施するとともに、より高度は情報通信態勢の構築を推進する。
 (1)最先端技術による装備品の研究=70億円。
 ▽高運動ステルス機技術のシステム・インテグレーション=新規。
 ▽ゲリラや特殊部隊による攻撃等への対応=機動戦闘車の開発=新規。
 ▽周辺海空域における艦艇及び航空機への対応=FCS3の性能向上の研究=新規。新艦対艦誘導弾用複合シーカーの研究=新規。戦闘機搭載型電子防御装置の開発=新規。
 ▽将来のネットワーク化への対応=将来ネットワーク型多目的誘導弾システムの研究=新規。
 ▽核・生物・化学兵器による攻撃への対処=新除染セットの研究=新規。
 (2)より高度な情報通信態勢の構築。
 ▽中央指揮システム(CCS)の換装=新規。各種映像のリアルタイム配信等による防衛省から総理官邸等への情報発信機能の強化。各自衛隊からの情報集約機能の向上等による意思決定支援機能の強化。文字、画像、映像の効果的な組み合わせによる中央・部隊間の統制・調整機能の強化。
 (3)情報機能の強化。
 ▽政府・防衛省における政策判断に資するため、情報本部の機能を強化=核、弾道ミサイル、テロ関連情報の収集・分析体制の充実強化。
 (4)滞空型無人機に関する検討。
 ▽米国の運用実態の調査。

 9 人材強化の取組と環境対策の推進
 自衛隊の人材強化の取組として、子育てと仕事を両立できる職場作りや、働きやすい環境づくりのための施策を推進する。
 (1)人材強化のための取組。
 ▽新たな自衛官俸給表の構築、階級新設等及び女性自衛官等に関する施策に係る検討態勢の整備=新規。
 ▽隊員の子育て支援として、夜勤や災害派遣といった不規則な勤務状況に対応する24時間体制などの託児施設を整備。
 ▽部外講師による部内相談員の育成や部外カウンセラーを招聘するなど、各種相談体制を整備し、隊員に対する心理的ケアを充実。
 (2)環境対策への取組。
 ▽庁舎の温度管理など職員の身近なところから環境への負荷軽減への取組を行うとともに、省エネ・省資源対策等を推進=エンジン音を静粛化したPXの導入=新規。大気汚染対策や廃棄物処理対策等。
 10  基地対策等の推進
 防衛施設と周辺地域との調和を図るため、基地周辺対策を着実に実施するとともに、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための施策を推進する=4415億3600万円。
 ▽基地周辺対策経費= 1190億5400万円。うち周辺環境整備845億9200万円、住宅防音344億6100万円。
 ▽在日米軍駐留経費負担 =1925億300万円。うち特別協定1416億2300万円。提供施設の整備203億8500万円。基地従業員対策等304億9500万円。
 ▽施設の借料、補償経費等=1299億8000万円。

主要な装備品・組織等
 ◇装備品等(カッコ内は概算要求数、額)
 【陸自】
 ▽甲類の調達=89式小銃2万5丁、対人狙撃銃111丁、5・56ミリ機関銃MINIMI356丁、12・7ミリ重機関銃80丁、81ミリ迫撃砲L1623門、120ミリ迫撃砲RT12門、99式自走155ミリ榴弾砲8両、90式戦車9両、軽装甲機動車180両、96式装輸装甲車20両、87式偵察警戒車2両(5両)、化学防護車3両。
 ▽乙類の調達=車両、通信器材、施設器材等743億円(970億円)。
 ▽航空機の調達=AH64D戦闘ヘリ0機(1機)、OH1観測ヘリ2機、UH60JA多用途ヘリ1機、CH47JA輸送ヘリ2機、LR2連絡偵察機1機。
 ▽誘導弾の調達=03式中距離地対空誘導弾1個中隊、93式近距離地対空誘導弾2セット、個人携帯地対空誘導弾(改)13セット(47セット)、96式多目的誘導弾システム1セット、01式軽対戦車誘導弾49セット。
 【海自】
 ▽艦船の建造=甲型警備艦DD1隻(19DDと同型)、潜水艦SS1隻、掃海艇MSC1隻(FRP製)、支援船9隻。「むらさめ」型護衛艦等の短SAMシステム換装0隻(3隻)。
 ▽航空機の調達=P1次期固定翼哨戒機4機、SH60K哨戒ヘリ0機(2機)、MCH101掃海・輸送ヘリ3機、US2救難飛行艇0機(1機)、T5初等練習機4機、TC90計器飛行練習機4機、THX次期回転翼練習機2機。
 【空自】
 ▽航空機の調達=F15戦闘機近代化改修20機(32機)、CH47J輸送ヘリ1機、U125A救難捜索機1機、UH60J救難ヘリ1機。E2C早期警戒機の改善2機。
 ▽誘導弾等=ペトリオット地対空誘導弾46億円、爆弾用精密誘導装置2億円、軽装甲機動車21両。


 ◇主要な組織改編
 
 ▽空自戦闘機部隊の改編
 ・F4戦闘機の減勢に対応し、島しょ部に対する侵略や領空侵犯等に実効的に対応できる体制を確保するため、沖縄の那覇基地にF15部隊を配備。
 ・百里基地に配備しているF15部隊(204飛行隊)と、那覇基地に配備しているF4部隊(302飛行隊)を入れ替え、所要の部隊改編を実施。
 ▽陸自少年工科学校の改編
 ・生徒の身分を20年度募集から防大「学生」並びとするとともに、学校における教育内容を見直し、名称を陸自高等工科学校(仮称)に変更
 ▽陸自第1混成団の旅団化関連事業
 ・沖縄に配備している第1混成団を21年度に旅団化改編する予定であり、20年度に所要の施設整備に着手。