12月の朝雲ニュース

12/13日付

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16年度潜水艦
「そうりゅう」進水
スターリング機関の最新型
「龍」から初の命名



海自で初めて実用スターリング機関を搭載して進水した16年度計画潜水艦「そうりゅう」。501の艦番号と艦尾の「X舵」に注目(12月5日、三菱重工業神戸造船所で)

海自の平成16年度計画2900トン型潜水艦の命名・進水式が12月5日、三菱重工業神戸造船所で行われ、吉川海幕長が石破大臣命名による「そうりゅう(蒼龍)」の艦名を代読した。
式には三菱側から佃和夫社長、防衛省から寺田政務官、吉川海幕長、横山装備施設本部長、執行者の杉本呉総監ら約200人が出席。吉川海幕長が「そうりゅう」と命名、支綱を切断すると、「そうりゅう」は船台から海面にゆっくりと浮かんだ。
海自潜水艦の命名基準は訓令により、これまで「海象、水中動物の名」と定められていたが、11月5日付の改正でこれに「瑞祥動物」が加わった。「そうりゅう」はその第1弾で、海自では初。
龍の名を冠したことについて、海自では「新たな脅威、多様な事態に対応しうるわが国の海上防衛の中枢艦として活躍を期待される新型艦であり、古来より龍神信仰を通じて広く国民に親しまれ、勇壮なイメージを持つ龍の名がふさわしい」としている。
天の四方を司る四神「青龍」「朱雀」「白虎」「玄武」のうち、「青龍」は東方を守護するものとされている。これにちなみ、平安京の本殿「大極殿」の東側にあった楼閣は「蒼龍楼」と名付けられている。「そうりゅう」はこの「蒼龍」からとられた。
「そうりゅう」は、非大気依存推進によりシュノーケル航走なしの長期潜航を可能にするスターリング機関、舵損傷の危険性が低く、水中運動性能を高めるX型舵を採用した新型艦で、平成21年3月に就役の予定。ぎ装員長は加納雅人2佐。


海自潜水艦の艦名として復活した旧海軍の空母「蒼龍」


技術研究本部が「そうりゅう」型の開発に用いた「X型4枚舵」潜水艦の縮小モデル

新型外燃エンジン 浮上充電が不要に
X型4枚舵も採用 


3自衛隊で最も伝統を大事にしている海自が、半世紀あまり続けてきた潜水艦名の「しお(潮)」シリーズを打ち切り、旧海軍の空母に使われた「そうりゅう(蒼龍)」の名を16年度計画潜水艦に付与。艦番号も15年度艦「もちしお」(艦番号600)を百番もさかのぼり、「501」とした。海自の並々ならぬ意気込みが見て取れるが、「そうりゅう」型とはどのような潜水艦なのだろうか。

 ●スターリング機関 従来の海自潜水艦はディーゼル/蓄電池推進で、潜航中の航行に必要なバッテリーを充電するため、定期的に海面に浮上する必要があった。
 この充電作業中が潜水艦の“アキレス腱”で、最も敵に探知される可能性が高いが、バッテリーをフル充電するには何時間も必要で、この間、海面に出したシュノーケルが探知されたり、艦艇や航空機のソーナーやソノブイによってエンジン音が探知される危険があった。実戦下なら、潜水艦を探知した相手は直ちに魚雷や「アスロック」のような対潜ミサイルで攻撃を仕掛けることになる。
 こうしたディーゼル/蓄電池推進の通常型潜水艦の脆弱性を解消するため、これまで米ロ英仏などの各国海軍は原子力機関を導入してこの弱点を補うと同時に、原子力に代わる新しいシステムとして「非大気依存推進機関(AIP)」が考案されてきた。その一つがスウェーデンで開発された潜水艦用の「スターリング・エンジン」だ。
 スターリング・エンジンは外部の熱の変化でシリンダー内の気体を膨張・収縮させて動力を得る外燃機関。このため、内燃機関のように大気中から酸素を取り込む必要がない。
 海自の「そうりゅう」はスウェーデンのコックムス社が開発したスターリング機関(川崎重工がライセンス国産)を搭載。同エンジンはすでにスウェーデン海軍の「ゴトランド」級潜水艦に搭載され、高い実績を持っている。「そうりゅう」ではディーゼル機関も搭載し、安全な海域では従来と同じくディーゼル発電を行う。
 海自はこれまでスターリング機関を練習潜水艦「あさしお」(2900トン)に搭載して試験を行った上で導入を決定。これにより、海自潜水艦の残存性は大きく高まると期待されている。
 ●X型4枚舵 「そうりゅう」に初めて導入されたもう一つの革新的技術が艦尾の「X型4枚舵」だ。
 旧海軍を含め、日本の潜水艦はこれまで「十字」型を採用してきた。「十字」型は針路を変える垂直舵と、深度を変える水平舵を組み合わせているが、「X舵」では舵がそれぞれ45度傾けた形で装着される。
 これは1枚の舵に回頭と潜航の両方の役割を担わせたもので、「十字」艦では垂直舵2枚が破損または故障すれば艦の回頭は不可能だったが、「X舵」なら他の2枚の舵を使っての操艦が可能となる。「そうりゅう」ではコンピューターにより艦尾4枚とセイル(艦橋)部2枚の舵を同時に制御して操艦する。
 「X舵」開発に当たった技本の研究者によると、X舵は十字舵よりも旋回半径を小さくできるとともに、舵をきった時の船体の揺れも抑える効果があるほか、従来艦では海底に着底した時、下側の舵を破損する可能性があったが、「X」型は船腹によって下部の舵が守られるという。