729発の化学弾回収
19年度旧軍兵器発掘 派遣隊員、中国から帰国
土中の化学弾を慎重に掘り出し、化学剤が漏れていないか検知作業を行う陸自隊員(中国吉林省敦化市郊外の蓮花泡で)
遺棄化学兵器の発掘・回収作業を共同で実施した日中のスタッフ。前列の5人は中国人民解放軍兵士
8月14日から9月18日まで、中国・吉林省敦化市蓮花泡で行われていた19年度の旧日本軍遺棄化学兵器発掘・回収事業の派遣隊員が9月20日に帰国、翌21日、防衛省で折木陸幕長に処理状況などを報告した。
今年度、同事業に参加したのは斎藤勝志1尉(東北方総監部)、田村博邦2尉(吉井弾支)、五十嵐稔(2化防)、村山敏秀(中方後支隊103不処隊)、戸辺康宏(反町弾支)、長谷川晃(101特武防)各2曹の6人と、内閣府遺棄化学兵器処理担当室に出向している戸部敏博、福島恵両3佐。
今回は日本から陸自OBなど民間人を含む約30人、中国から人民解放軍兵士など約100人が参加し、民家が点在する蓮花泡地区の林間地帯で遺棄化学弾の回収作業に当たった。隊員たちは事前の磁気探査で特定された埋設地域に展開、掘り出された砲弾等の識別・検知、汚染の確認、破損弾薬や信管付き弾薬の安全化、中国側要員への指導に当たった。
作業は本部・発掘指導・梱包・探査・発掘の各班に分かれて行われたが、隊員は最も危険な発掘班に所属。同班は日中の専門家と通訳計9人で編成された3組が設置され、斎藤1尉、田村2尉、五十嵐2曹がそれぞれ組長を務めて作業全般を指揮した。
「各組は割り当てられた20メートル四方の区画で、気温が30度を超える中、防護服を着用し、最初はスコップを使って掘った。50センチほど掘って砲弾が出てきたら防護マスクを着け、その後は竹べらなどで少しずつ泥を除去、一つずつ慎重に回収した」と第1組長の斎藤1尉。「中には化学剤が漏れ出しているものもあり、それらは石膏で固めて安全化した。全部で729発の化学弾を回収したが、信管付きのものも3発あった」という。
また、第2組長を務めた田村2尉は、「現地では中国兵士と一緒に作業した。思っていた以上にコミュニケーションがとれ、いろいろ細かなことまで話ができ、彼らが日本に強い関心をもっていることが分かった」。
現地で隊員たちは敦化市内にあるホテルに宿泊、朝7時45分に出発し、蓮花泡の現場で夕方まで作業、午後6時過ぎホテルに戻り、夕食後は自分で汚れた衣服を洗濯して就寝。この日課を5日続け、1日は器材整備日として休みを取った。防護服等の点検後は敦化市内を散策するなどして気分転換を図ったという。
「蓮花泡ではいろいろ貴重な経験ができた」という103不発弾処理隊の村山2曹は、「化学弾となると弾薬の専門家でも一歩引く。今後は自分が経験した化学弾の処理方法などを同僚や後輩たちに普及していきたい」と話している。
今回の遺棄化学弾の安全処理の功績で、斎藤1尉以下6人は21日、陸幕長から3級賞詞を受けた。