情報流出防止
異例の大臣指示発出
「各級指揮官の指導に疑念」
久間防衛相は5月15日、自衛隊での一連の情報流出事案を受け、再発防止の徹底を図るため改めて隊員指導の実施方針を盛り込んだ各級指揮官あての大臣指示を発出した。指示は「情報流出事案の続発は国の安全に重大な影響を与えるとの認識に欠如した隊員が存在する証左」と断じ、これらは「自衛隊の各級指揮官の指導・統率力をも疑わせるもの」と管理する立場の幹部を厳しく叱責、隊員との個別面談と指導、その結果の報告を課している。情報流出防止ではこれまでに事務次官通達が2回出されており、改めて大臣指示が出されたのは異例。一方、2等海曹が秘密情報を自宅に持ち出していた事案で神奈川県警は同19日、日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法違反容疑で広島県呉市江田島の海自1術校を家宅捜索した。
全隊員と個別面談し情報管理の徹底図れ
大臣指示
防衛省は昨年4月以降、情報流出防止対策に取り組んできたが、今年に入って再び海自隊員が秘密情報を自宅に持ち出していたことが判明。こうした事態に久間防衛相は4月24日、自らを議長とする情報流出対策会議を設置し、省幹部に情報流出対策の徹底と根絶を強く求めた。
今回の大臣指示は、同会議を踏まえ、隊員に対する指導の実施方針を具体的に示した異例の内容で、改めて内局、各機関、各自衛隊の長に対し隊員指導を徹底するよう指示している。
大臣指示で久間防衛相は「未だ情報流出を根絶できていない」と指摘、「情報流出の続出は、『自衛隊が取り扱う情報は国の安全に直結するものであり、その漏えいは国の安全に重大な影響を与えるもの』との認識が欠如した隊員が存在する証左」と断じ、「このことは情報管理の重要性が隊員一人ひとりにまで十分浸透しておらず、自衛隊の各級指揮官の指導・統率力をも疑わせるもの」と厳しく叱責、6項目の指導方針を示し、すべての隊員への指導とその実施結果を情報流出対策会議に「報告せよ」としている。
指導の具体的な方法は、(1)上官(概ね課長クラス)は部下に対し、個別面談を行う(2)個別面談では情報保全の知識の付与だけでなく、情報管理の重要性の認識を植え付けて隊員の自覚を促し、自らが指導した隊員には絶対に情報を流出させないという気概をもって、上官としての全人格を傾注して指導(3)これまでの調査で虚偽回答があったことにかんがみ、上官は隊員の申告を鵜呑みにすることなく、隊員の身上等を十分把握する(4)個別面談できめ細かな指導が行えるよう、十分時間を確保する(5)上官は、可搬記憶媒体などについて適切な知見を有する管理補助者と十分連携する(6)速やかに全ての隊員と個別面談し、毎年1回以上実施する−−の6項目。
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神奈川県警は5月19日、海自プログラム管理隊(現・艦艇開発隊)の3海佐が作成した幹部の教育用資料が複数の学生に流出した問題が日米相互防衛援助規定に伴う秘密保護法違反に当たるとして、海自警務隊とともに江田島の海自1術校の庁舎や学生館などを家宅捜索、パソコンや記憶媒体などを押収した。
この強制捜査について防衛省の守屋事務次官は21日の記者会見で、「イージスという秘匿度の高い情報を、関与することのできない人間がデータを持っていた。私どもの情報管理体制について司直の手を通じてきちんと解明されることに防衛省として全面的に協力したい」と述べるとともに、「防衛省の情報管理体制については国の安全保障に関する情報を扱う役所であり、自ら律すべきは律するという厳しい姿勢で対応する」と述べた。
情報流出防止に係る隊員に対する指導に実施に関する防衛大臣指示
自衛隊においては、一連の情報流出事案を踏まえ、昨年4月、秘密電子計算機情報流出等再発防止に係る抜本的対策の具体的措置を取りまとめ、同月以降、再発防止に鋭意取り組んできたところである。
しかしながら、今般、海上自衛隊の隊員が秘密の疑いのある情報を自宅で保有していた事案が明らかになるなど、自衛隊においては、未だ情報流出を根絶できていない。
情報流出事案の続発は、「自衛隊が取り扱う情報は国の安全に直結するものであり、その漏えいは国の安全に重大な影響を与えるもの」との認識が欠如した隊員が存在することの証左であり、このことは、自衛隊における情報管理の重要性が隊員一人ひとりにまで十分浸透しておらず、自衛隊の各級指揮官の指導・統率力をも疑わせるものである。
本事案は、わが国の安全保障にかかわる重大な事案であることから、情報流出事案の根絶のため、別紙の方針に従い、管下の全ての隊員に対し、情報流出防止に係る指導を実施し、その実施状況および結果を情報流出対策会議(防防調第4212号(19・4・23)別紙の第1に規定する情報流出会議をいう。)において報告せよ。
〈別紙〉情報流出防止に係る隊員に対する指導の実施方針
1 上官(大臣官房長、各局長、施設等機関の長、各幕僚長、情報本部長、技術研究本部長、装備本部長および防衛施設庁長官が別に指定する者をいう。以下同じ。)は、部下に対し、個別面談を行う。
2 個別面談においては、上官は、情報保全等に係る知識の付与にとどまることなく、自衛隊における情報管理の重要性についての認識を植え付けることなどにより、隊員の自覚を促すとともに、情報保全および情報セキュリティに対する意識の改革を行うため、自らが指導した隊員には絶対に情報流出をさせないという気概をもって、上官としての全人格を傾注して指導する。
3 個別面談による指導に併せ、私有パソコンおよび私有可搬記憶媒体の保有並びにそれらにおける業務用データの取り扱いの有無に関するこれまでの調査において、虚偽回答があったことにかんがみ、上官は、隊員の申告を鵜呑みにすることなく、隊員の身上等を十分に把握する。
4 個別面談においては、上官は、一人ひとりにきめ細かな指導が行えるよう、十分な時間を確保する。
5 上官は、情報流出防止を図る上で適切な知見を有する職員として指定された可搬記憶媒体等管理補助者と十分に連携する。
6 本年においては、速やかに、全ての隊員に対する個別面談を実施することとし、以後は、全ての隊員に対する個別面談を毎年1回以上実施する。