イラク復興支援
「日本の善意実行」小泉首相
朝霞駐で 陸自部隊が隊旗返還
2年半に及んだイラク復興支援活動が終了、額賀防衛庁長官(壇上中央左)に隊旗を返還する最終10次群の山中群長(同右)(7月29日、朝霞駐屯地の体校体育館で)
イラク復興支援活動を終えた陸自部隊の隊旗返還式典が7月29日、小泉首相、麻生外相、額賀防衛庁長官のほか、歴代防衛庁長官ら国会議員をはじめ、アルジュマイリ駐日イラク大使、歴代支援群長や派出部隊指揮官、隊員家族ら計約950人が出席して朝霞駐屯地の体校体育館で行われた。
式は午前10時50分から始まり、10次群(群長・山中敏弘1佐以下12旅団主力の約500人)、イラク復興業務支援隊第5次要員(小瀬幹雄1佐以下約100人)、派遣警務隊、群予備要員の計約700人が整列する中、山中群長が額賀長官に「すべての復興任務を終え帰国しました」と報告。次いで2年半に及んだ復興支援活動の功績で小泉首相が内閣総理大臣特別賞状を授与。このあと山中群長らがそれぞれの隊旗を額賀長官に返還した。
首相は訓示で「皆さん、お帰りなさい。皆さんは厳しい中で困難な仕事を果たされた。日本国民の善意を実行してイラク政府、サマワ住民、日本国民から高い評価を受け、全員が無事帰国できたことを誇りに思う。1発の銃弾も撃たず、1人の死者も出さずに任務をやり遂げたことは日本、イラク両国民の間で永く記憶に残るだろう。ありがとう」と称えた。
額賀長官も「皆さんは礼儀正しく、高い目標を見失わず、過酷なイラクで勤勉に仕事を続けた。私もサマワで修復が済んだ学校を訪れたが、生徒たちは目を輝かせて勉強のできる喜びを見せていた。皆さんが成し遂げたことは20年先、30年先の日本とイラクの友好の礎となるだろう」と述べ、「平和建設部隊としての実績、教訓を今後、しっかりと自衛隊の中に普及し、今後の国際協力活動に生かしてほしい」と要望した。
この後、アルジュマイリ大使があいさつ、「自衛隊の作戦の成功を心から喜びたい。皆さんが成し遂げた仕事はサマワのみならずイラク国民みなが感謝している。皆さんの活動はイラクと日本の友好に大きく寄与した。ありがとう」と述べた。
式後、隊員たちは駐屯地食堂で行われた慰労会に家族とともに出席。歴代イラク派遣群長、業務支援隊長は総監部庁舎で小泉首相、額賀長官らと懇談、ねぎらいの言葉を受けた。
首相訓示
7月29日に朝霞駐屯地で行われたイラク人道復興支援派遣部隊の隊旗返還式における小泉首相の訓示は次の通り。
× × ×
皆さん、お帰りなさい。よく頑張ってくれました。皆さんのイラクにおける支援活動、いちばん心配をされて、無事にイラクから帰国されてほしいと祈るような気持ちでおられたのはご家族の皆さんだと思います。本当にありがとうございました。
皆さんはある時はイラクにおいて50度を超える暑さ、そしてまたある時は氷点下マイナスとなる厳しい状況の中で困難な仕事を立派に果たされました。日本国民の善意を実行する部隊として、使命感と規律ある活動でイラク政府からも、サマワ住民からも、日本国民からも高い評価を受け、感謝のうちに全員が無事帰国できたことは、日本国民として、また日本国の総理大臣として諸君の活動を誇りに思っているところです。本当にご苦労さまでした。
皆さんは毎日毎日、汗を流して厳しい活動、そして医療、給水、道路など公共施設の復旧作業、多くの活動はすべてイラクの国民から大変な感謝を受け、喜ばれています。それは皆さんが自らの使命を自覚して献身的な活動をした成果のたまものであります。改めて皆さんの日々の厳しい活動に心からの敬意を表します。
皆さん方は自ら進んで自衛隊に志願して入り、なおもイラクでの復興支援活動では困難を承知して、厳しい環境で活動しなければならないという苦労を承知して進んで応募されました。そして選ばれた諸君だからこそ、イラク支援においては高い評価を受け、今日、駐日イラク大使が皆さんに感謝の言葉を述べたいと、この式典に参列されております。
諸君のおかげでイラク国民、イラク政府も、イラクが自らの力で民主的な国をつくるために、テロと戦いながら一番苦しい時に日本国は、日本国民は自分たちの国づくりに支援の手を差し伸べてくれたことは忘れないとイラク政府、そしてイラク駐日大使も口にされています。われわれは日本国民としてイラクの国づくりに少しでもお役に立てたことをうれしく思っております。
そして誰よりも日本の自衛隊の諸君は、他国にはない活動をしてきた。1発の銃弾も撃たず、1人の死者も出さずに任務を立派にやり遂げた。これは素晴らしいことであります。こうしたことは日本国民、イラク国民にとっても永く記憶に残るだろうと思います。
どうか、皆さん方におかれては、この貴重な体験と成果を踏まえて、ますます研さんを積まれて、国民とともに歩む自衛隊、国民とともにある自衛隊であるという気概をもって歩んでいただきたい。
今もなお活動を継続されているクウェートにいる自衛隊、そして航空自衛隊の諸君も活動を継続されています。彼らも皆さんと同じく無事日本に帰国されるよう願っております。
諸君は今後ともこの貴重な体験を踏まえてますますご研さんされることを心より祈念申し上げ、敬意を表するとともに、諸君のこれからのご活躍を祈念申し上げまして訓示と致します。本当にお疲れ様でした。ありがとう。
イラク・ドキュメント(2006.7.25〜7.29)
●7月25日(火)
▽クウェートに残っていたイラク派遣部隊のうち、山中10次群長以下、最終の3波隊員約280人が羽田に帰国。小瀬隊長以下約80人の業務支援隊5次要員は防衛庁で先崎統幕長らに帰国報告。
●7月26日(水)
▽クウェートに残る後送業務隊(加治屋裕一1佐以下約100人)、イラク派遣部隊の車両や資材の日本への輸送業務を継続。
●7月27日(木)
▽山中10次群長、額賀防衛庁長官に帰国を報告。
▽先崎統幕長、会見で「陸自がイラクでやってきた復興支援事業は今後、ODAなど国のレベルに移る。それが今後加速してイラクの安定化につながればいい」。
▽森陸幕長、会見で「陸自はイラクで任務を達成し、責任を果たした。イラク復興という歴史的な活動に参加できたことは名誉。2年半の活動で得られたものは隊員の気持ちの部分が特に大きい。5個方面隊の隊員が過酷な中で任務を成し遂げたことは、(全国の部隊レベルで)大きな意識改革になったと思う」。
●7月28日(金)
▽派遣隊員、隊旗返還式のために朝霞駐屯地に再集結。
●7月29日(土)
▽首相、外相、防衛庁長官を迎え朝霞駐屯地で10次群等の隊旗返還式。小泉首相が「日本国民の善意を実行し、イラク政府、サマワ住民、日本国民から高い評価を受け感謝のうちに全員が無事帰国できたことを誇りに思う」と訓示し、イラク派遣部隊に内閣総理大臣特別賞状を授与。
▽クウェートに展開中の空自輸送航空隊、イラク国内への物資空輸任務を継続。
(イラク・ドキュメント終わり)