国外派遣隊員
現地で投票可能に
議員立法で 公選法改正案が成立
海外に派遣されている自衛隊員などが国政選挙、地方選挙に参加できるよう改めた公職選挙法の一部改正案が6月16日の参院本会議で社民党を除く全会派の賛成で可決、成立した。
同改正案は自民、公明両与党が議員立法で提出、国外での不在者投票制度を新たに設けたもので、「10人以上」が「1週間以上」特定の施設・区域に滞在していれば「特定国外派遣組織」として認定、管理者の下で投票権を行使できるようにした。南極地域観測支援の砕氷艦「しらせ」乗員、観測隊員らには観測隊長が管理者となりファクシミリによる衆参両院選挙の投票ができるようにした。
施行は特定国外派遣組織が約9カ月、南極地域観測隊が約6カ月のそれぞれ周知期間を経て来年春には施行される。
これまでの公選法では、不在者投票は名簿登録地以外の市町村での投票や病院、老人ホームなど選挙管理委員会が指定する施設、漁船など一定の船舶、あるいは指定港での投票を認めているが、船舶内投票以外は国内にいることが前提で、選挙期間中に投票できなければ棄権扱いとなった。
また、遠洋航海中の船舶乗員のファクシミリによる洋上投票では衆参両院選挙、3カ月以上海外に滞在している邦人は衆参の比例代表選挙のみが在外公館で投票できたが、地方選挙は対象外だった。
改正のきっかけとなったのは、昨年1月の山形県知事、同6月の兵庫県知事両選挙で、イラク復興支援派遣隊員合わせて650人が選挙権を行使できなかったことなどから。
大野功統防衛庁長官(当時)は同2月の衆院イラク支援特別委員会で公明党の佐藤茂樹議員の質問に対し「国の使命を帯びて海外に行く自衛隊の諸君に、基本的人権である選挙権をぜひとも与える必要がある」と答え、公選法の改正を強く訴えた。
自民党は今年3月、党の選挙制度調査会に大野氏を座長とする「国外における邦人の不在者投票権の行使に関するワーキング・チーム」を設置、公選法改正案の検討に着手。与党間でもプロジェクト・チーム(鳩山邦夫座長)を発足させ、5月には改正案の要綱を了承、両与党内の手続きを経て6月2日、議員立法として改正案が国会に提出され、衆参両院の審議を経て16日に成立した。
この改正で今後、PKOや国際緊急援助隊などの「特定国外派遣組織」として認定された隊員は、「特定の施設」である自衛隊宿営地などで投票できることになる。