陸自関東補給処
電子タグ 実証実験を公開
効率的に遠隔地へ物品補給
模擬宿営地で電子タグが張られた段ボール箱を載せて読み取り装置のゲートを通るフォークリフトと、手前は個数などの物品情報が直ちに表示されるパソコン端末を操作する隊員(2月24日、霞ケ浦の陸自関東補給処で)
スムーズで効率的な補給業務を目指し、財団法人防衛調達基盤整備協会(首藤新悟理事長)が主体となって進められている「自衛隊の国際平和協力活動における補給業務での電子タグ利活用検討のための実証実験事業」の見学会が2月24日、陸自関東補給処(霞ヶ浦)で行われ、電子タグ読み取り装置のゲートを使った入出荷などのデモンストレーションが報道陣に公開された。
同事業は昨年、経済産業省の公募で採択された「平成17年度電子タグ実証実験事業」の一つで、防衛調達基盤整備協会を主体に11企業が協力、防衛庁は3自衛隊の輸送ルートや車両、輸送艦、輸送機で物品を輸送して同事業を支援している。
電子タグとは、物品の特徴のほか、製造・出荷時からのさまざまな製品情報が記録された小型のICチップと、その情報の送受信を行うアンテナを内蔵したタグのことで、「ICタグ」「電子荷札」「RFID(Radio Frequency Identification)電波方式認識」などとも呼ばれている。
バーコードと違って不正な複製が困難な上、一つの読み取り装置(リーダー)で一度に大量の物品の情報を読み取ることができるため、効率的な在庫管理が期待されている。実現すれば、自衛隊では補給処をはじめ、遠隔地の展開現場でも荷物を一つ一つ解くことなくコンピューターで一元的に物品管理ができるなどメリットは大きい。
実験では、陸自関東補給処―海自横須賀基地―同硫黄島基地―空自入間基地―陸自関東補給処を結ぶ一連のルートを国際平和協力活動の際の国内補給処から派遣先宿営地までの「補給サプライチェーン」に見立てて、電子タグを貼り付けた補給物品を約1カ月かけて一巡輸送、各基地等の倉庫にあらかじめ設置された読み取り装置(リーダー)で物品を追跡管理、リアルタイムで効率的な在庫管理・ロケーション管理などの実験を行ってきた。

宿営地の倉庫を模したコンテナ内で電子タグの物品情報を読み取る隊員(2月24日)
見学会の当日は、宿営地の倉庫を模した駐屯地内の展示会場に、前日の23日に戻ってきたばかりの糧食、衣料、パソコン、電子機器等の物資の入った段ボール箱が約10個単位で各パレット上に並べられ、フォークリフトがパレットごと持ち上げて読み取りゲートを通過するたびに、段ボールの側面に張り付けられた電子タグから内容物の詳細情報が管理パソコンに反映されるという入出荷のデモンストレーションが行われた。
国内補給処と海外宿営地を想定した両方のパソコンから管理システムにアクセス、在庫状況や輸送途中の状況を確認したり、発注・受注、出入荷の管理が簡単に行われる様子が展示されたほか、狭いコンテナ倉庫の中で隊員が読み取り機器を手に持ってバーコードのように段ボールの電子タグに当てて読み取るデモも行われた。
また、過酷な輸送状況を想定して水や油に濡れたり、折れ曲がったタグを使った実験も行われ、1回のゲート通過で完全に読み取りが可能な電子タグの頑丈さがアピールされた。
しかし、段ボールを積載したフォークリフトがゲートを通過するには徐行が必要で、時折、読み取れずにもう一度通り直していったん停止し、しっかり読み取らせるといったリカバリー処理の場面もあった。100パーセントの読み取りに向けた技術改良が今後の課題といえる。
米国では昨年1月から国防総省や米小売最大手のウォルマート・ストアーズがそれぞれ納入業者に電子タグ貼付を義務付けるなど本格的に導入が開始されており、日本でも経産省を中心に実用化を目指した実証実験や研究開発が官民一体で進められている。
防衛庁では、一昨年末に発生したインド洋津波災害の国緊隊活動など、インフラが整っていない地域でのスムーズな補給管理も視野に、今回の実験の成果を踏まえ、自衛隊の業務環境に即した電子タグの利・活用の可能性について検討していく方針。
防衛調達基盤整備協会第2事業部長の島健治理事は「電子タグは流通革命ともいえる画期的なシステムで、今後どのように運用していくかが課題。将来的に利活用できれば」と話している。