C−1輸送機 初の女性機長誕生
空自2輸空の佐藤・逢坂1尉
「責任の重さ感じる」
空自2輸空(入間)で副操縦士を務めてきた佐藤香苗1尉(35)と逢坂麗1尉(30)の2人がこのほど、そろって上級機長の資格を取得し、晴れて空自初の女性C1輸送機機長となった。空自では現在、U125A救難捜索機に3人、CH47J輸送ヘリに1人の女性機長がいるが、輸送機では初めて。自衛隊全体では平成8年、海自P3C哨戒機の女性機長が先陣を切って誕生している。2月13、14の両日、相次いで初の任務便を運航した2人は「機長として責任の重さを感じる」などと感想を語った。

空自輸送機で初の女性C1機長となった佐藤香苗1尉(左)と逢坂麗1尉(2月13日、入間基地で)
災派やPKOで活躍/航学女子のパイオニア
佐藤1尉は13日に入間−春日間、逢坂1尉は14日に入間−新田原−百里−入間間のそれぞれC1輸送機による特別便を操縦、機長としての第一歩を踏み出した。13日、入間基地に帰投した佐藤1尉は開口一番「天候が最高でよかった」と安どの表情。「副操縦士の時は機長に頼っていましたが、今度はクルーの命を預かる立場。何もかも違います」。
空自の女性パイロットはまだごくわずかで、そのほとんどが輸送機部隊に所属。救難機は中級資格で条件付きの機長になれるが、輸送機の任務便機長には上級資格が必要となる。
佐藤1尉は12年、逢坂1尉は16年に2輸空に配属。これまで中級機長として訓練便で機長の経験を積む傍ら、空挺隊員や物資を投下する空中降投下の訓練にも励んできた。
C1は機長を含め通常6人が搭乗。その要の機長として全般を把握し、副操縦士、フライトエンジニア、ナビゲーター、オペレーター、ロードマスターなどのクルーを指揮しながら空中降投下等の任務を安全確実に行う「クルー・コーディネーション」の訓練を行ってきた。今年に入り、約1カ月に及ぶ上級訓練の検定飛行と整備試験飛行訓練のフライトに合格し機長資格を取得した。
佐藤1尉は東北大学を卒業後、商社に勤務していたが、「災害救援などで人の役に立ちたい」と平成8年4月入隊。幹候校(奈良)を卒業後、T3(防府北)、T1(芦屋)、T400(美保)の各練習機での訓練を経て、403飛行隊(美保)のC1輸送機操縦課程に入校、訓練を積み上げた。
15年には苫小牧石油コンビナート火災でC1による消火剤空輸、16、17年にはゴランPKOの陸自派遣部隊にU4多用途支援機で生活物資を届けるなど、災派や人道支援に携わった。
入隊から10年経った今、佐藤1尉の目標は「飛行隊長になること」。この春には指揮幕僚課程(CS)に入校する。後輩女性隊員には「女であることに甘えず、頑張ってほしい」とエールを送る。
一方、逢坂1尉は航学50期で航学女子の1期生でもある。両親が陸自OB、妹(22)もこの春陸自に入隊するという自衛官一家だ。旭川北高校3年の時、C1の体験搭乗がきっかけで「空自パイロットになりたい」と応募。防府北基地の航学課程ではタフな男子学生に混じり、「絶対パイロットになる」と歯を食いしばった。
航学女子の道筋をつけてきたパイオニアだが、「気負いはない」と茶目っ気たっぷりに笑うほどの自然体だ。一児の母でもある“ママさんパイロット”の逢坂1尉にとって、長女・凪沙ちゃん(4)が何よりの心の支え。夜がどんなに遅くても毎朝5時には起きて弁当を作ってから出勤する。両親の協力があってこその育児だが「平日は子供の寝顔しか見られなくって」と苦笑い。平成13年に1年間の産休・育休を取った後、すぐに完全復帰した。目標は「定年をパイロットとして迎えること」だ。
二人の所属する402飛行隊長の高垣康二2佐は「クルーから信頼を得るよう1回1回のフライトを確実に行い、努力していってほしい」と話している。