どう変わる自衛隊
統合運用Q&A(16)
統幕長の人事権限
運用上で一定の関与
「補職」「表彰」「懲戒」「任免」
Q 新たな統合運用体制への移行に伴い、人事はどのように変化するのか。
A 自衛隊における人事には、隊員の「任命(任免、休職、復職、昇給、補職、入所・入校、懲戒処分)」、「表彰」等がある。なお、「任免」とは、隊員の「任用(採用、昇任等)、退職、免職」である。
自衛隊では、隊員を募集し、「採用」してから、隊員が「退職」するまでの間、隊員が所属する自衛隊の幕僚長がこれらの人事機能を用いて管理を行い、隊員の身分を保障し、職務に従事させるとともに処遇を確保している。
新たな統合運用体制では、統合幕僚長が運用上必要な範囲で人事について関与する必要が生じてくる。以下、新たな統合運用体制への移行に伴い変化する人事の概要を説明する。
新たな統合運用体制では、陸海空自衛隊の運用について統合幕僚長が軍事専門的見地から長官を一元的に補佐し、自衛隊の運用に関する長官の命令を統合幕僚長が執行する。このため、統合運用の実効性を確保する必要性から、隊員を適材適所に配置して職務に従事させるとともに、士気高揚のため運用上の功績については適時に表彰し、服務規律を維持するため運用を阻害する服務事案等については適切に懲戒処分を行うことが必要である。
したがって、統合幕僚監部の隊員や、運用中の部隊(統合幕僚長の指揮監督下にある部隊で、統合任務部隊等を含む。以下同じ)の隊員に対して、人事機能のうち一部の機能、すなわち隊員の(1)「補職」、(2)「表彰」、(3)「懲戒」および(4)「任免」のそれぞれについて、統合幕僚長が運用上必要と認める場合は、一定の関与を行う方向で進められている。
Q 統合幕僚監部に所属する隊員の人事はどのように行われるのか。
A 統合幕僚監部に派遣される隊員の人事に関しては、基本的に現在の統合幕僚会議事務局に派遣される隊員の人事と同様だが、(2)の「表彰」については、統合幕僚長に対して、新たに陸海空幕僚長と同様の2級の賞状と賞詞の表彰権を付与する方向で進められている。
Q 統合任務部隊等を含む運用中の部隊に所属する隊員の人事はどのように行われるのか。
A 運用中の部隊の隊員の人事は、(1)「補職」については、運用上必要な場合(例えば傷病や顕著な失策等によって、指揮官が作戦上の要求に合致しない場合)に、指揮官等の補職替え等に統合幕僚長が関与することを可能としている。(2)「表彰」については、統合幕僚監部における人事権の場合と同様に、統合幕僚長が2級以下の賞状・賞詞を授与する権限を有することとしている。(3)「懲戒」については、運用上必要な場合(例えば、命令への不服従により運用を阻害する場合)、統合幕僚長が懲戒権を行使できることとしている。(4)「任免」については、「行動時等に殉職した隊員の特別昇任(特別昇給)」および「部隊指揮官の定年延長」について、統合幕僚長が関与できる方向で進められている。
Q 統合運用に関わる人材は、どのように育成・管理されるのか。
A 統合運用に関わる幹部自衛官については、自衛隊の統合運用に関する資質および識能についての統合教育と、統合運用に関わる勤務経験を通じて、育成することができるものと考えている。このため、統合幕僚長が所要の人材ニーズを示し、陸海空幕僚長がそのニーズに基づく人材を育成するという枠組みにより、統合運用に必要な人材を育成し、管理することになる。
こうした人材育成には10〜15年の期間を要するが、より危機に強い自衛隊を目指し、その根幹となるべき統合運用を担う自衛官を、着実に育成していく必要がある。
〈以下次号〉