防衛関係資料


 

防大改革に関する報告書C 平成23年6月1日 検討委員会


 2 省内外の教育研究機関、地域社会との連携
 (1)防衛医科大学校との連携
 幹部自衛官となるべき者の教育訓練を実施する防衛省のもう一つの機関である防衛医科大学校の学生は、医師たる幹部自衛官(医官)を目指して教育訓練を受けている。防衛医科大学校卒業生も、防衛大学校卒業生と同様に幹部自衛官として自衛隊の中核を担うことが期待されている。近年、医官は病院や部隊における診療のみならず、災害派遣・国際平和協力活動等の現場において、部隊とともに被災住民や現地住民に対する診療活動を実施する機会が増えている。
 これに伴い、医官は医師としての高度な診療能力に加え、多くの場面で幹部自衛官としてのリーダーシップを発揮することも期待されている。
 この点に関し、防衛医科大学校における医官を養成するための教育訓練と、自衛隊のリーダーを養成する教育を実施している防衛大学校の教育訓練が連携することにより、医官が今後求められるリーダーシップに関する教育が効果的に実施できるものと考えられる。
 現在、防衛大学校学生と防衛医科大学校学生は、入学以降、地理的に離れたキャンパスにおいて卒業まで教育訓練を受けており、両者の間に活発な交流は行われていない。他方で、幹部自衛官となった後は両校の卒業生は共に活動することとなる。したがって、学生の頃から、防大学生、防医大学生が共に過ごし、共通した教育訓練を受け、相互の一体感を高めることは任官後の円滑な職務遂行にあたって大きな意義があると考えられる。また、教育、校友会及び学生舎生活における防大生、防医大生相互の刺激による切磋琢磨も期待できる。
 具体的には、防医大学生の医学系専門教育に支障を来さないよう、1学年の7月の約1か月間を目途として、防医大学生が防衛大学校において教育訓練を受ける機会を平成24年度から設定することとする。
 また、類似分野を研究している防衛大学校、防衛医科大学校の研究者の協働についても更なる深化を図ることとする。

 (2)省内の他の教育研究機関、一般大学との交流
 幹部候補生学校のほか、自衛隊での教育段階毎の機関等と連携し、学生の職業としての幹部自衛官像の早期確立・形成に資するものとする。また、幹部学校、防衛研究所、技術研究本部と防衛大学校の連携により、それぞれの教官、研究者の専門知識、研究の深化を図ることを目指すこととする。
 さらに、学生による一般大学の学生との交流を促進し、多様な価値観に触れさせ、視野の拡大に資するものとする。また、教官による交流も積極的に奨励し、得られた成果については、適切な対外発信を行い、防大ブランドの向上や、より資質の高い入学志望者の確保に寄与させるものとする。

 (3)地域社会との連携強化(ボランティア活動)
 防衛大学校もまた、他の防衛省・自衛隊の組織と同様、地域社会の理解と協力なくしてはその任務役割を効果的に果たすことはできない。防衛大学校が地域との連携を強化する一環として、近年、教育分野への活用も広く行われているボランティア活動の実施を更に推進する。これまでも地元の老人ホームや、児童養護施設等において、学生の自主的な活動が実施されてきた。また、東日本大震災に際して停電となった周辺地区において学生が自発的に交通整理活動を実施したり、連休を利用して留学生を含めた学生の有志が被災地の現場で支援活動を実施したりしている。
 学生舎生活を義務づけられ、地域社会と疎遠になりがちな学生にとって、ボランティア活動を通じて社会的視野を広げ、様々な価値観に触れる機会を持つことは、将来の幹部自衛官としての人格形成にとっても重要な意義を有する。また、ボランティア活動は、防衛大学校学生としての教育訓練の成果を社会に示す場でもあり、学生に対する地域社会の理解の深化と信頼感の向上にもつながる。
 現状において学生は厳しい時間的制約の下で教育訓練を受けているが、こうしたボランティア活動の積極的意義を認め、学生の自主的な取り組みを促していくために必要な措置が行えるよう検討を進め、可能なものから実施していくこととする。

 3 防衛大学校の運営、態勢等の改革
 (1)防衛大学校の組織的・一体的な機能発揮のための態勢、教職員の人事管理制度・枠組みの検討
 教育、訓練、集団生活(学生舎生活や校友会活動)を柱とする防衛大学校の運営は、学校長とこれを支える企画・管理担当副校長、教育担当副校長、幹事の指導の下、総務部、教務部、訓練部の各部門が担っている。これらの部門は、教務面では教務部、訓練及び生活指導面では訓練部というようにそれぞれに分掌しつつ学校運営を行っているが、今後は学生の教育をより効果的に実施していく上で、部門間の横断的調整がより重要となる。こうした機能別各部門の連携を円滑にし、全ての部門が一体となって防衛大学校としての機能を最大限に発揮できるよう、定期的に部門間連携会議を開催するとともに、部門横断的な企画調整にあたる機能の強化を図ることとする。
 また、教職員のうち、事務官及び自衛官は比較的短期間で防衛省内の他機関に異動するのに対し、教授として教育及び研究にあたっている教官は、2〜30年の長きにわたり在籍する者も多く、防衛大学校の良き伝統の担い手である
 一方で、防衛省・自衛隊の一員としての意識が希薄になることを危惧する見方もある。教官が、常に防衛省・自衛隊の抱える政策目標や課題について高い関心を持ち、十分に理解することは、将来の自衛隊を担う学生の教育に不可欠の要素である。そのため、教官の省内の他の研究機関との人事交流のほか、行政実務や自衛隊の隊務運営面での研修等を実施することとする。教官の採用についても、任期付採用等の活用や客員教授の任用の拡大などにより、多様な人材を確保することとする。
 また、訓育を担当する指導教官の多くは、1尉から3佐の比較的若年の幹部自衛官であり、陸海空自衛隊から優秀な人材が補職されている。これら指導教官は、リーダーシップの涵養に重要な役割を果たす学生舎生活、校友会活動、訓練といった場面での指導を担当するとともに、学生にとっては最も身近な幹部自衛官であり、任官意思の確立に大きな影響を与える存在となっている。指導教官に相応しい若手幹部自衛官は、部隊等における所要も高いが、引き続き、学生の目標となるような優秀な者を充てるとともに、指導力向上に向けた研修等の充実を図ることが重要である。同時に、第一線の部隊や幕僚監部等での勤務を経験した者や、幹部学校指揮幕僚課程を修了し早期に昇任した者を指導教官として配置し、学生に高い目標意識を持たせることも極めて有益と考えられる。
 防衛学教官は、防衛学教育の一貫性確保と質的向上及び新鮮な実務経験に基づく教育をバランスよく実施できるよう、3佐以上の経験豊富な自衛官を中心に配置しているが、今後、防衛学教官を活用した指導教官への助言や防衛医大生への防衛学教育の実施を図るためにも、防衛学教官の充実のため、より一層の努力が必要である。

 (2)学生の構成に関する検討
 科学技術と人間社会への理解に基づき、時代を先取りする課題発見・解決能力と多様な文化・環境に対応できる素養を持つ優秀な若者を幅広く将来の幹部自衛官として確保していくためには、防衛大学校の学生の適正な文系理系の採用比率(現在2:8)及び女子の採用枠についても検討する必要がある。
 理系の高い素養を有する幹部自衛官を確保することは、自衛隊が保有する高度な装備品等の運用、開発等に不可欠であるが、一般大学出身の幹部候補生採用者は文系が8割を占めていることから、防衛大学校においては、引き続き理系の学生の確保に重点を置く。一方で、任務の国際化、高度化等による各自衛隊のニーズや文理交叉教育の実情も踏まえつつ、現在の文系、理系の2:8を検討の基礎としつつ、若干でも文系を増加することとする。
 任務の多様化に伴い、女性自衛官は自衛隊にとって不可欠な存在となり、防衛大学校においても平成4年以降女子学生を採用し、優秀な卒業生を輩出している一方で、女子学生の採用枠は35名から40名であり、男子学生の1割以下となっている。こうした現状に対し、より優秀な学生の確保のため、女子学生の採用拡大の有効性も指摘されているが、将来の幹部自衛官たる女子学生の採用拡大は、防衛省・自衛隊全体における女性幹部自衛官の活用について包括的に検討を行う必要があり、当面は、現在の女子学生採用枠において、文理比の変更を含めた適正数の検討を行うこととする。
 さらに、多様なソースから幹部自衛官を求め、幹部の人材形成に多様性を持たせる等の観点から一般大出身者を一般幹部候補生として採用することは意味がある。他方、今般の東日本大震災に際しての大規模災害派遣や原子力災害派遣でも示されたとおり、部隊行動(集団行動)を原則とする自衛隊が有効に活動できるためには、団結・規律・士気の根幹である幹部の質が極めて重要な役割を果たしている。防衛大学校はまさにそうした重要な役割を担う幹部自衛官を養成する機関としてますますその重要性が高まっており、防衛大学校の入学者を増加させることについても検討の価値がある。他方、防衛大学校の学生は、卒業後、幹部自衛官となることが予定されており、その入学定員の増加は、大学卒相当の幹部自衛官全体の人事管理に直結する問題である。したがって、この点に関しては、現在、防衛省内の人的基盤に関する改革委員会において議論されている、幹部・曹・士の活性化のための施策の中で検討することが適当である。

 (3)償還制度の導入
 防衛大学校学生は、4年間の教育訓練修了(卒業)後、自衛官に任用され、幹部候補生学校に入校することとなっているが、防大卒業後、任官することなく依願退職する学生が存在する(いわゆる任官辞退)。防衛大学校学生は、幹部自衛官となる者として国費による教育訓練を受け、学士も取得しているが、こうした退職者については、卒業後公務に従事しないことから、教育訓練に要した費用の一部を退職に当たって償還させることの可否について、従前から、省内外において議論されてきたところである。
 この問題についてこれまで防衛省としては@防衛大学校入校志望者にこれまでにない負担感を持たせて志望を萎縮させる効果があることから、広く幹部自衛官となるべき優秀な人材を求めることに支障を生じる、A償還金さえ支払えば卒業後安易に退職(任官辞退)できるという風潮を生じさせるおそれがある、という二つの理由から当該制度の導入は適切ではないと判断してきたところである。
 しかしながら、防衛大学校における教育内容は、累次の改善を経て一般の大学と同等のものとなっており、卒業した者には学位が与えられ、社会においても大学卒業生として認識されるに至っている。こうした中、今般の防衛大学校改革を通じてますます高等教育機関としての性格が充実していく防衛大学校を卒業して学士を得た後、自衛官に任官しない者又は任用後短期間で退職する者については、授業料を支払って大学教育を受け、学士を得る一般の大学生との負担の公平の観点から、大学の授業料相当分の償還を義務づけることが適当であるとの結論に至った。
 また、任官せず他の分野で社会に貢献することを選んだ者から大学授業料相当分の償還を得ることは、防衛大学校が、防衛省職員・自衛隊員としての公務の遂行に必要な教育訓練にとどまらず、一般大学相当の幅広い教養・専門教育を高い水準で実施していることを示すことにもなると考えられる。
 さらに、平成18年に施行された「国家公務員の留学費用の償還に関する法律」によって、職務として留学を命ぜられた職員であっても、留学終了後定められた期間(5年)内に退職した場合には、留学費用の償還を義務付けられたこととの均衡の観点からも、防衛大学校においても償還制度を導入することが妥当であると考えられる。
 償還の額は、一般の大学生との均衡の観点から国立大学の授業料相当額を念頭において検討を進めることとする。なお、学生手当は教育訓練を受けるという防大学生の職務に対する対価であることから償還の対象とはならない。同様に期末手当、現物給与たる給食等も対象とはならない。
 償還制度については、制度の細部設計、受験者層への周知を考慮し、平成26年度入学生から導入することとする。

 (4)入学試験の手数料徴収の検討
 近年の防衛大学校における大学レベルの教育の充実により、防大学生は、職務としての教育訓練を受けていると同時に、質の高い大学教育を享受しており、卒業生は学士を取得している。また、他の省庁大学校に比して、著しく多くの受験者、入学者を数え、卒業式を初めとする各種行事が広く報道され、オープンキャンパスなど一般大学と同様の方法で募集活動も行うことから、受験者層をはじめ、社会において広く「大学」と認識されている。このため、防衛大学校の入学試験においては、一般の大学入試と同様に受験料を徴収することが当然との認識も広まりつつある。
 入試において手数料相当額を徴収することは、大学相当の教育を実施している高等教育機関たる防衛大学校の「大学」としての性格がより正確に理解され、また、大学教育を受けるべく受験手数料を支払って入試に臨む多くの受験生と防大志望者との間の均衡の観点からも適当との議論もある。ただし、防衛大学校入学試験は、国家公務員たる防衛省職員の採用試験であり、他の公務員試験が原則無料で実施されていることを考慮すれば、手数料を徴収するとしても入試に要する経費の実費相当額程度にとどめるべきものと考える。
 手数料の徴収については、平成24年度までに実施される入学試験実施要領の改革の結果や学生の募集に与える影響も踏まえる必要があることから、平成26年度までに結論を得るべく検討を継続することとする。

 (5)学位審査手数料の学生負担
 防衛大学校及び防衛医科大学校の本科の課程を修了した場合は、平成3年度以降独立行政法人大学評価・学位授与機構から学士が授与されているが、その際の学位審査手数料(25000円)は、国庫から支出されている。
 防衛大学校においては、開校以来大学設置基準に準拠した教育を実施しており、昭和30年代以降防衛大学校卒業生に対する学位授与を以下の理由から要望し、学位授与機構が設置された平成3年度以降、学位が授与されている。
 @大学(又は大学院)と同等以上の教育を実施している実質に形式を伴わせ防衛大学校における教育を名実ともに全うする必要があること
 Aより優秀な学生の入校が期待でき、更に学生の勉学意欲並びに教官職員の士気が向上し、より優秀な幹部自衛官が育成されるようになること
 B既に学士号が付与されている諸外国の士官学校卒業生と国際的な立場で同等の立場となること
このように、学士号は、防衛大学校における教育の総仕上げ(成果)として、その卒業生全員に取得させ、学位を有する幹部自衛官とすることが職務の遂行上必要と判断し実施してきたところである。
 他方、学位は基本的に個人に帰属するものであり、経済活動をはじめ様々な面で社会的価値を有するものである(大学院等への進学、就職活動等)。学位取得に際しての国民との公平の観点から、今後は、学位審査手数料は学位を授与される本人負担とすることとし、平成24年度卒業生から実施する方向で検討する。

 (6)任官辞退に対する考え方
 防衛大学校卒業後、自衛官として任用されることを辞退し、退職する者については、卒業式の際に「任官拒否」として報道され、手当を支給されつつ教育訓練を受けながら、自衛官となることを拒否した者として扱われている。現在、身体上の理由により自衛官に任用できない極めて少数の者を除いて、卒業時に何らかの事情で任用を辞退した者については、一律に「任官辞退」(=任官拒否)とされている。国費によって幹部自衛官となる者の教育訓練を実施する防衛大学校として全卒業生が任官すべきであり、任官意思の確立を通じて、任官辞退者の減少に努めるべきなのは言うまでもない。
 しかしながら、現実に毎年存在する任官辞退者のうち、自衛隊のリーダーを育てることを目的として教育訓練を受けながら、真にやむを得ない理由(心身上や家庭上の理由等)によって任官しなかった者が引き続き、例えば、防衛省の事務官や技官、他の公務員として国に貢献したり、予備自衛官として我が国の防衛を支えたいとの志を有している場合もあると考えられる。
 こうした者について、一律に「任官辞退」と消極的に扱うのではなく、防衛大学校における教育訓練をより有効に防衛基盤の拡充に活用するといった観点から、より多様かつ緻密な進路管理について検討することとする。

 (7)ROTCに類する制度の検討
 平成19年に防衛省がとりまとめた「防衛力の人的側面についての抜本的改革報告書」(平成19年6月28日)において、米国のROTC(予備役将校訓練課程(Reserve Officers' Training Corps)も参考にしつつ、「今後、一般大学の学生から幹部自衛官を志願する者について、大学在学中に自衛官教育を行えるような、制度の創設及び充実について検討する」とされ、平成22年の事業仕分けにおいても、同様の制度の創設についての指摘がなされている。
 米国と我が国では、軍事に対する一般社会の理解に差があり、また、米国ではROTC創設当時に徴兵制が採られていた等の違いもある。したがって、米国と同様の制度を直ちに我が国で実現することは困難と考えられる。他方で、予想される厳しい少子化社会において、将来にわたって、優秀な幹部自衛官となる者を確保していくためには、防衛大学校学生のみならず、一般幹部候補生試験を含めた多様な募集の在り方を検討していく必要がある。こうした中、一般大学の学生の中で自衛官を志す者が、在学中から関心に応じた研修や教育訓練を受けられるような制度を検討することとする。
 その際、我が国で唯一、体系的に防衛・安全保障に関する教育を実施できる防衛大学校の教育・研究資源を活かしていくことは、防衛基盤の醸成への貢献、防衛・安全保障学の拠点としての地位の確立につながるものと考えられる。
 具体的には、当該制度における防衛学に関する教育については防衛大学校を活用して行う等が考えられるが、訓練実施の在り方などを含め制度の具体的な在り方について平成25年度までに結論を得るべく検討を進める。

 (8)防衛大学校の改革、検討、改善の継続
 本報告書において記述した改革の具体的項目については、示された実施時期や検討期限に沿って、今後、防衛省・自衛隊として着実に検討、実施していく必要がある。また、時期を明示していない項目についても早急に検討を進め、可能なものから着実に実施していく必要がある。
 特に防衛大学校においては、「防衛大学校改革に関する防衛大学校検討委員会」を設置し、全学を挙げて防衛大臣指示の項目を検討してきたが、改革の最前線として本報告書の施策を進めていく必要があることから、引き続き、防衛大学校内に改革検討・実施の態勢を継続させることとする。
 また、防衛大学校における実際の教育訓練についての問題意識を防衛省・自衛隊としての政策立案に更に反映させるため、防衛大学校教官として、長年、学生の教育にあたった経験を有する者を内部部局に配置し、幹部自衛官となる者の教育をはじめとする各種の政策立案に参画させることとする。
 各施策の実施状況については、本委員会の枠組みを活用して、時宜を得た報告・討議を行うこととする。

 Y おわりに

 平成23年3月20日に実施された防衛大学校卒業式において、本科第55期卒業生代表は、答辞の中で、「日本は戦後最大の国民生存の脅威にさらされています。東日本の大地震・大津波に対し、福島原子力発電所の危機に対し、我々の先輩方が全力を尽くしていることに敬意を覚え、誇りに思います。まだ、未熟な我々ですが、敢えて言わせて頂きたいと思います。諸先輩方、そして国民の皆様、我々も後に続きます。この国と国民の安全・安心のため、我々は全力を尽くし、結束をもって戦うことを、総理大臣臨席の卒業式において誓い、任務に邁進してゆく所存であります。」と述べた。
 防衛大学校の58年に及ぶ歴史と伝統、存在意義、防衛大学校学生の誇りの源泉は、この言葉に集約されている。卒業生たる幹部自衛官は、大きな時代の変化に直面しても自衛隊の任務を完遂する原動力としてその役割を果たしてきた。戦後最大の国難とされる今般の震災に臨んで、まさに最後のよるべとして粛々と任務を遂行する自衛官の姿が被災者に与える安心感と自衛隊の真摯な活動に対する国民の支持は、学生に対し、防衛大学校において教育訓練を受ける意義を再確認させ、将来の幹部自衛官としての自覚を更に強固なものとしている。
 防衛大学校改革に関する防衛大臣指示が発出されて以降、委員会において、次代を担う幹部自衛官を育成する教育機関としての防衛大学校の教育訓練の在り方や将来の自衛隊のリーダーに相応しい防衛大学校学生像について、活発な議論が行われた。
 防衛大学校は防衛省・自衛隊のみならず国民全体の貴重な財産である。今後、防衛省・自衛隊は、本報告書に示した検討結果に基づいて、着実に防衛大学校改革を進めていくことが必要である。もとより、この改革は、防衛省・自衛隊が一丸となって総合的に推進していくものであるが、何よりも防衛大学校に対して、良き伝統を基に新しき伝統を創るという気概を持って、絶えず再活性化しようとする態勢が求められる。また、防衛大学校学生は、改革の単なる受け手ではない。この改革は、究極的には学生が完成させるものである。大規模な自然災害に際して部隊を率いて被災者を黙々と支援する自衛官、世界各地において安全保障環境の安定のため困難な環境に立ち向かう自衛官など先輩卒業生の活躍に続いて、新たな防衛大学校の伝統を創るべく学生諸君の奮起にも当委員会として強く期待したい。 (おわり)