防衛関係資料


未来への安全保障・防衛力ビジョン
「安全保障と防衛力に関する懇談会」報告書

●はじめに
●第1部 新たな日本の安全保障戦略 
●第2部 新たな安全保障戦略を実現するための政策課題 
●第3部 防衛力のあり方 
●第4部 新たな「防衛計画の大綱」に関する提言
●付言  更に検討を進めるべき課題──憲法問題
●おわりに
 
 第4部 新たな「防衛計画の大綱」に関する提言

1 「防衛計画の大綱」に定めるべきもの

 「防衛計画の大綱」は、わが国防衛力の整備、維持、運用に関する基本的指針として1976年に策定され、1995年に見直された。この「大綱」は、デタント期及び冷戦終結後の時期に、防衛力の意義や規模について国民の理解を得ることを念頭に置いて定められたものであり、「大綱」別表に書かれた自衛隊の編成・装備の規模や達成度のみに関心が集まりがちであった。
 本懇談会においては、その後の安全保障環境の変化を踏まえ、新たな「大綱」に盛り込むべき内容について議論を重ねてきた。新「大綱」には、本報告書に示したように、統合的な安全保障戦略を進めるために国全体としてとるべき政策、その中において自衛隊が果たすべき役割、保有すべき機能と体制を盛り込むべきである。
 また、1957年に策定された「国防の基本方針」は、第3項に効率的な防衛力を漸進的に整備すること、第4項に日米安保体制を基調とすることを掲げ、その前提として、第1項に国連の活動への支持と国際協調、世界平和の実現を、第2項に民生の安定と愛国心の高揚による安全保障基盤の確立を述べており、今日もなお妥当する考え方を含んでいる。
 他方、この方針が策定されてから今日までの半世紀近くの間に、日本の経済力や国際的地位の向上、日米安保条約の改定と日米防衛協力の進展、国際社会の相互依存関係の一層の深まり、国連の役割の変化など日本の安全保障を取り巻く状況は大きく変化した。新「大綱」は、こうした変化を踏まえ、「国防の基本方針」の考え方をも包含する新たな安全保障戦略を示すものとして策定されるべきである。

2 防衛力整備目標の示し方

 新たな「大綱」は、日本の安全保障戦略の全体像を示すものであると同時に、防衛力整備の指針を示すものでなければならない。その際、防衛力整備の目標水準の示し方については次の二点に留意する必要がある。
 第一に、現在政府が行っている防衛力の抜本的見直しの答えとして、防衛力のいかなる機能が量的にどのように変わるのか、その達成時期も含め、国民に明確に示すことが求められていること。
 第二に、防衛力のあり方は、変化し続ける安全保障環境や日進月歩の技術動向などを踏まえ、不断に弾力的に見直されるべきものであること。特に、自衛隊の具体的装備や編成については、統合的な安全保障戦略と防衛力のあり方に関する基本的考え方の範囲内で、常に弾力的に見直してしかるべきである。
 このため、新しい「大綱」には防衛力の定性的な機能を中心に目標を規定するとともに、現在の別表に相当するものについては、防衛力の量的な目標水準の変化と達成時期をわかりやすく明示するとともに、時代の変化に合わせて定期的に見直しができるよう、その規定の内容、方法等を検討すべきである。