防衛関係資料


2007高級幹部会同 福田首相訓示
(平成19年11月28日)[2007.12.6付朝雲]

 本日、自衛隊の中枢を担う幹部の皆さんに直接話をする機会を得ましたので、私の思うところを述べたいと思います。
 自衛隊は創設から半世紀にわたり、変化する安全保障環境の中で、わが国の平和と独立を守り、国の安全を確保するという、国家の最も基本的な役割を担う組織として、その任務を立派に果たしてきました。
 ただいま、インド洋に派遣されていた海上自衛隊の部隊に特別表彰を授与しましたが、その功績は、イラク派遣自衛隊と共に、近年の自衛隊の歴史に加えられるべきものと考えます。私は、テロとの闘いのため、そしてわが国の国益のために、灼熱のインド洋で、ご家族とも遠く離れ、常に緊張を保ちながら任務に真摯に取り組んでこられた隊員諸君を誇りに思います。そしてそのご労苦を心からねぎらいたいと思います。
 多くの隊員諸君は、それぞれの現場で、常に危険と隣り合わせと言える活動を行っており、特に災害救助活動などを通じ、そのひたむきさと活躍は国民によく理解され、自衛隊の役割も高く評価されています。
 それら諸々のことをうれしく思いながらも、最近、社会で大きく取り沙汰されている事柄により、長年にわたり築かれてきた防衛省・自衛隊に対する国民の信頼が大きく揺らいでいることは、本当に残念でたまりません。私は、様々な問題の原因が、自衛隊の活動の現場ではなく、むしろ現場を管理する防衛省や自衛隊の業務のあり方の基本に関わることにあることを大変憂慮します。
 これは、正に、ここにおられるすべての幹部諸君一人ひとりが、この事態を自分のこととして深刻に考えるべきものと思います。なぜこのような状況に至ったのか、中枢幹部として、情報管理、装備品の調達のあり方、公務員として、自衛隊員としての規律の保持をどのようにすべきか、また、防衛省・自衛隊に対する国民の信頼を回復するためには自らがどのような幹部たるべきか、などについて、自ら考えて下さい。その上で組織の中で真剣に議論していただき、そして、防衛大臣を中心に組織の結束を図っていただきたいと思います。
 国の防衛という皆さんの任務は言うまでもなく国民にとって不可欠なものであり、一時としてゆるがせにできません。それだけに国民は、信頼できる防衛省、自衛隊を強く望んでいます。幹部諸君は、このような国民の期待の重みをかみしめ、今一度原点に立ち戻っていただきたいと思います。そして緊張感をもって任務に取り組み、隊員諸君への範を示すことができるようになっていただきたいと思います。
 わが国が、長く平和と繁栄を享受できるように、その礎として、常に国民とともにあり、国民を守り続けていくという使命を確認し、防衛省・自衛隊の中枢幹部として、新たな気持ちで任務に精励されることを切望して私の訓示とします。