防衛関係資料


2007観閲式 福田首相訓示
(平成19年10月28日)[2007.11.1付朝雲]

 本日、自衛隊記念日観閲式に臨み、士気旺盛で規律正しい隊員諸官の雄姿に接することができ、観閲官として誠に心強く思います。
 自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を確保するという、国家の最も基本的な役割を担う組織として、創設から半世紀以上にわたり、その任務を立派に果たしてきました。私は、わが国防衛という使命を果たすため、昼夜をわかたず任務や訓練に精励している隊員諸官を誇りとします。
 近年、わが国を取り巻く安全保障環境は変化を続けており、自衛隊に求められる役割は、ますます多様かつ重要なものとなっております。
 本年1月、防衛省が発足しました。これは、隊員諸官や諸先輩が長年にわたり国防という崇高な使命に捧げた努力のたまものであり、また、防衛省・自衛隊が担う責任の重みや任務の重要性について、広く国内外の理解が得られたことを示すものであります。
 防衛省の発足に合わせ、国際平和協力活動が自衛隊の本来任務とされました。わが国の安全保障を確固たるものとするためには、国際社会が協力して行う平和と安定のための活動に、主体的・積極的に取り組むことが必要であり、国際的に信頼される国家として、果たさなければならない責務でもあります。
 昨年は、イラクにおいて、陸上自衛隊が1人の犠牲者も出すことなく、人道復興支援活動等を完遂しました。これは長い自衛隊史における忘れることのできない快挙であります。そして、現在も、イラク、インド洋をはじめ、世界各地で隊員諸官が活躍し、その活躍ぶりは高く評価されております。私は、遠く日本を離れ、厳しい環境の中、汗を流し、士気高く任務を遂行している隊員諸官に対し、心から敬意を表します。
 インド洋における海上自衛隊の補給活動は、海上輸送に資源の多くを依存する、わが国の国益に合致するもので、わが国が国際社会に対し果たすべき責任でもあります。国連をはじめ国際社会からも、強い支持と活動継続の要望を頂いているこうした活動を、私は引き続き継続することができるよう、全力を尽くします。
 日米安保体制は、わが国の安全保障の要であるとともに、アジア太平洋地域をはじめとする国際社会の平和と安定に、極めて重要な役割を果たしております。特に、在日米軍の再編については、日米安保体制を一層実効的なものとするとともに、地元の負担軽減のため、今後とも沖縄など地元の切実な声に耳を傾け、地域振興にしっかりと取り組みながら、着実に進めて参ります。
 本年は、石川県能登半島沖や新潟県中越沖において、大規模な地震が発生するなど、自然災害が国民生活に大きな不安をもたらしており、災害時などにおける自衛隊の活動に対し、大きな期待が寄せられています。
 防衛省・自衛隊においては、ゲリラや特殊部隊の攻撃、大規模災害を含む様々な事態により迅速に対処するため、本年、陸上自衛隊中央即応集団を新設し、即応体制の整備を行うなど、危機管理体制の強化を図ってきました。隊員諸官においても、国民の安全・安心が諸官の双肩にかかっていることに思いを致し、任務に臨まれたいのであります。
 私は、就任以来、政治と行政に対する信頼の確保が喫緊の課題であると述べてきましたが、防衛省・自衛隊において、近年、規律の保持や情報管理に関する問題事案が発生していることは誠に遺憾であります。
 国の防衛は国民の信頼なくしてはなし得ません。特に幹部諸官はこのことを強く自覚し、厳正な規律を保持する必要があります。その上で、幹部はもとよりすべての隊員の一人ひとりが能力を高め、誇りをもって職務に精励し、国民の期待に真に応えていくことを切望します。
 むすびに、自衛隊の最高指揮官として、私も隊員諸官と心を一にし、わが国防衛という崇高な使命を果たすという決意を述べ、訓示とします。