防衛関係資料


小池大臣着任訓示
(平成19年7月4日)[2007.7.12付朝雲]

 このたび久間前大臣の後任といたしまして防衛大臣を拝命致しました小池百合子でございます。防衛大臣として、国の防衛という国家存立の基本にかかわる崇高な任務を担うこととなりまして、光栄に感じるとともに、その使命と責任の重みを痛感しているところでございます。
 この場に立ちますと、昨年の6月に、講演をさせていただいたことを思い出します。環境大臣の立場で、環境問題に関する講演をさせていただいたのですが、その時はまだ防衛「庁」でした。この1年の間に防衛省が発足し、本日、私が、防衛大臣としてこの場に立っていることにはまことに感慨深いものがあります。
 私は、かねがね、国の政策にとって重要なのは大義と共感である、と申し上げてきました。即ち、政策というものは、それを実施するための大義が必要であることは言うまでもありません、それが国民に信頼され、共感を得られるものでなければならない、ここが重要だと考えています。
 この基本的考え方に立ち、この際、防衛大臣の着任にあたりまして所信を申し述べ、私の決意の一端を表明させていただきます。5点あります。
 まず、今日の安全保障環境は、脅威が多様化、複雑化しております。
 特に、国際テロ、大量破壊兵器及び弾道ミサイルの拡散の進展が各国にとって大きな脅威となっていることはご承知のとおりであります。また、昨年、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、核実験実施を発表するなど、我が国周辺の安全保障環境は引き続き厳しいものがあります。防衛省は、これらの新たな脅威や我が国の平和と安全に影響を与える多様な事態に適切に対応し、我が国の安全を保つため、「多機能で弾力的な実効性のある防衛力」を構築するとともに、国際社会からの期待に十分応え得るように、国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組んでいくことが必要と考えます。
 まず第1に、目指す方向であります。今年の防衛省発足に伴い、今まで以上に国民の期待と信頼に応えていける政策官庁を目指してまいります。防衛省は、国家の未来を戦略的に考え、我が国の安全保障だけでなく、国際社会からの期待に十分応え得るような政策機能の強化を図る必要があります。私もとりまとめに関わったいわゆる日本版NSC法案が国会に提出されております。今後、日本版NSCが出来た暁には、防衛省としての政策機能がますます問われることになります。本省の内部部局や地方組織など全般にわたる組織改革を行い、政策機能の充実・強化や地域との接点の拡充を図って参りたいと考えております。
 第2に、日米同盟関係であります。日米安全保障体制とこれを基調とする米国との緊密な関係を一層強化して、在日米軍再編を進めてまいります。
 在日米軍再編は、安全保障環境の変化に的確に対応し、在日米軍の抑止力を維持する、それとともに、基地が集中する沖縄県をはじめとする基地周辺住民の負担を我が国全体として軽減する、そのために、是非とも早期に実現する必要があります。沖縄・北方担当大臣を務めた経験を活かし、今国会で成立した米軍再編特措法に基づく措置を適切に講じ、地元の意見に耳を傾け、よく説明して理解を得ながら、日米両政府で合意した普天間飛行場の移設や在沖米海兵隊のグアム移転をはじめとする在日米軍の再編を1日でも早く実現したいと考えます。
 また、こうした日米の取り組みを基礎としながら、豪州やインドといった価値観や問題意識を共有し得る国々との間でも、安全保障・防衛協力を進めていきたいと考えております。
 第3に、様々な緊急事態への対応に万全を期してまいります。実働部隊を抱える危機管理官庁としての防衛省・自衛隊は、多様な事態に的確に対応していかなければなりません。このため、弾道ミサイル防衛システムの整備を着実に進めるとともに、テロや災害などの様々な事態において実効性のある活動を行っていく必要があります。
 私はかつて、阪神大震災の救援のため、被災地を自転車やバイクで、ここにおられる大前政務官と一緒に走り回った経験がありますが、その際、震災の現場で自衛隊の活動が住民から絶大な信頼をもって支持されていることを目の当たりにしました。防衛省・自衛隊に対するこのような国民の期待と信頼に応え得るよう、万全の態勢を構築してまいります。
 第4に、我が国は、責任ある国際社会の一員として、国際平和協力活動に主体的、積極的に取り組んでまいります。現在、自衛隊は、イラク、インド洋、ゴラン高原、ネパールにおいて、厳しい環境の下、国際平和協力活動等を精力的に行っています。私自身、これまで、イラク、ゴラン高原、クウェート、東ティモールなどを訪れる機会がありましたが、いずれの地においても、自衛隊の活動が現地の住民や政府のみならず、各国から高く評価されていることを私自身が体感いたしております。
 本年、国際平和協力活動等が自衛隊の本来任務とされたところですが、今後、防衛省としての国際貢献の在り方について検討して参りたいと考えます。
 第5に、防衛省・自衛隊の情報保全体制の強化に取り組んでまいります。国の防衛を司る組織として、厳格な情報管理が必要であるにもかかわらず、今年も海上自衛隊における情報持ち出し事案やインターネットを通じた情報流出事案等が続発していることは大変残念であります。同盟国の信頼を確保し、国の防衛という任務を全うしていくため、情報保全体制の強化、これは喫緊の課題だと感じております。
 防衛省・自衛隊の役割は増大し、国民の期待も高まっております。みなさんにおいては、一人一人が、国民の安全と平和を担っているのだという任務の重要性とその責任を自覚し、高い規律と士気をもって、任務にまい進して頂きたいと思います。
 私は、ここに、我が国の防衛に全身全霊で取り組むことを固く誓うとともに、みなさんが各々に課せられた任務に、一丸となって取り組み、全うされることを希望し、私の着任の訓示と致します。