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概 要
東アジア地域の政治・経済的大国であり、世界の大国たらんと欲する中華人民共和国(以下、中国)の急速な成長や発展は、この四半世紀において激変したこの地域の繁栄の主な要素の一つである。中国の成長は、東アジア地域からも、世界からも重大な関心を寄せられてきた。米国は、国際社会の一翼を担う中国の、平和で豊かな国としての発展を歓迎する。しかし、我々は、この国が戦略的岐路に直面していると見ている。中国の国力や影響力、ことに軍事力が増加するに従い、中国の指導者らが今後、基本的にどのような選択を行うのかが問題となる。
中国人民解放軍(PLA、以下、中国軍)は、戦力の近代化を進めているが、中でも中国周辺域における短期で高強度の紛争を戦い、勝利する態勢を整えることに力を入れている。中国軍の近代化は、中央指導部の要求にこたえ、台湾有事シナリオに対する軍事的選択肢を可能なものとするために、1990年代の後半以降、加速している。
短期的には、中国は台湾の独立防止、あるいは中国の言い分通りの解決法を交渉するよう台湾を屈服させる試みに焦点を当てているように思われる。その次の目標は、米国を含む第三国の干渉に対処できる戦力の保持である。中国軍の戦力拡大、すなわち弾道ミサイル(長距離・中距離)、新型艦、新型機、及び近代システムによる態勢整備は、「平和的再統一」という台湾問題に対する政策の背景に相反する。中国は、武力行使を放棄してはいない。長期的に見て、現在の傾向が続けば、中国軍の能力は東アジア地域で活動する他の近代的な軍に、確実な脅威をもたらすものとなり得る。
中国軍は、これらの目標達成に向けて、新しい外国製及び国産の兵器システムや軍事技術を取得し、近代戦のための新しいドクトリンを発表し、軍の制度、人材の開発及び専門化の分野を改革し、演習や訓練の基準を改善している。中国が周辺域を超えて通常戦力を投射する能力は、限定的であると我々は分析する。
この報告書は、中国の国家及び軍の戦略、軍の近代化の進歩と傾向、地域の安全保障と安定に対する彼らの影響について、我々にわかっていることを概説したものである。しかし、中国の安全保障問題のほとんどの側面は、秘密主義に覆われている。中国軍の近代化に関して、どのような方向性で、意志決定がどのようになされ、推進していく能力がどの程度のものなのか、外部からはほとんど知り得ない。したがって、本書の調査結果や結論は不完全なデータに基づいており、必要に応じて、収集された情報分析によってデータを補っている。
中国軍が2年に1度発行している国防白書は、透明性に関していくらかの改善を示しているが、中国の指導者らは、自国の軍部隊の数と質についての基本的な情報を、厳重に管理し開示しないようにしている。例えば、米国防総省は、中国政府の国防支出の総額と充当項目を未だに知ることができない。推定では、公式に発表された金額の2倍から3倍であると思われる。
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