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防衛関係資料 |
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<年頭訓示> |
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額賀防衛庁長官は1月4日の仕事始めで、恒例の「年頭の辞」を全国の部隊に向け放送した。長官の「年頭の辞」全文は次の通り。 新年明けましておめでとうございます。平成18年の新春に当たり、全国各地で任務に従事している隊員諸官、また、イラク、クウェート、インド洋、ゴラン高原をはじめ、遠く南極にある砕氷艦「しらせ」の乗組員や防衛駐在官等、世界各地で活躍中の隊員諸官に敬意を表し、一言ごあいさつを申し上げる次第であります。 さて、昨年は、一昨年末に策定された新防衛計画の大綱及び新中期防衛力整備計画が適用される初年度に当たり、わが国の安全保障政策の大きな転換点ともなりました。まず、国外においては、一昨年末のスマトラ島沖大規模地震及びインド洋津波や昨年10月のパキスタン等大規模地震に際しての国際緊急援助活動、国内においては、昨年3月の福岡県西方沖地震、大型台風等による大規模災害の発生等に際しての災害派遣など、防衛庁・自衛隊の活躍は国民の皆さんから大変注目されました。 今日の安全保障環境は、2001年に発生した米国の9・11テロに見られるとおり、従来のような国家間における軍事的対立を中心とした問題のみならず、国際テロ組織などの非国家主体が脅威の対象として大きく注目されるようになっております。大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散の進展、国際テロ組織の活動等、新たな脅威や平和と安全に影響を与える多様な事態への対応が、今日の国際社会の差し迫った課題となっております。 第1に、新たな安全保障環境の下に米国との協力については、米国と共通の戦略目標を確認し、抑止力の維持と沖縄等の地元の負担の軽減の観点から、日米の役割・任務・能力及び在日米軍の兵力構成見直しについて米国と集中的に協議を進めてまいりました。昨年10月末には、いわゆる「2+2」において、それまでの検討を取りまとめた共同文書を発表したところであります。これについて、昨年11月の閣議決定を受けた後に、私は、全庁的な体制の下で、自ら先頭に立って関係地方公共団体を精力的に回り、理解と協力を得ることに全力を尽くしました。さらに関係閣僚会議を設置し、政府を挙げて取り組むことにしております。今後は、本年3月の最終的な取りまとめに向けまして、日米協議を加速し、早急にその具体的内容を詰めるとともに、適時適切に、関係地方公共団体の皆さまにご説明をし、誠心誠意理解を得る努力をしたいと思います。共同文書で示された個別の施設・区域に関連する施策が実現するように最大の努力をしていかなければなりません。 第2に、新たな安全保障環境の下で、国際社会との協力を重視し、安全保障環境の改善を図るとの観点から、国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組むことが重要であります。 現在、自衛隊は、イラクの国家再建に向けた取り組みへの協力を行っておりますけれども、先般、イラク人道復興支援特措法に基づく基本計画の派遣延長を1年間致しました。この派遣期間の延長に先立ちまして、私も昨年12月にイラク及びクウェートを訪れ隊員の活動を視察してまいりました。隊員の皆さんは厳しい環境の中にもかかわりませず、高い士気と規律を保ち、活動に励んでおりました。イラクの人々をはじめ広く内外から高い期待と評価を得ていることを確信を致しました。 自衛隊は、このほかにも、インド洋におけるテロ対応のための活動やゴラン高原における国際平和協力業務など、国際的な安全保障環境の改善のための主体的・積極的な取り組みを行っております。新防衛大綱にも記述されております通り、従来付属的な任務とされてきた国際平和協力活動をいわゆる「本来の任務」とすべく、同活動の位置付けを含め所要の体制を整えることが不可欠であります。自衛隊による国際平和協力活動への取り組みは、わが国の国際平和に向けた取り組みを国際社会に対しまして明確なメッセージとして伝えるものであります。国際平和協力活動を行う隊員が、一層の自覚と誇りをもって職務に専念し得ることになると考えるのであります。 同時に、防衛庁の省移行につきましても、昨年末に与党間において議論を開始させることができました。私としては国防の重要性にかんがみ、今後、政治の場で、この問題について国民の理解が一層深められる形で、早期に省移行の実現が図られるように、引き続き全力を尽くしてまいる所存でございます。 第3に、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応していくために、新防衛大綱の「多機能で弾力的な実効性のある防衛力」の体制を整備していくことが重要であります。本年3月には、統合幕僚監部及び統合幕僚長を新設を致します。これにより、陸・海・空の自衛隊の一体的運用による迅速かつ効果的な対応ができるよう統合運用体制へ移行することとなります。この体制移行が円滑に実行され、統合運用をより実効性のあるものとすることが求められております。また、弾道ミサイル防衛につきましても、弾道ミサイル攻撃への対処に、より確実を期し得るように、将来の弾道ミサイルの脅威やBMD関連技術の動向を踏まえながら、今後ともわが国のBMD能力の向上や運用のあり方の検討に努めてまいりたいと思います。 第4に、防衛庁を、新たな時代の防衛を担う組織へと変換していくために、今年、内部部局をはじめとする防衛庁全般にわたる組織改編を行います。この改編は、防衛庁の歴史の中でも大規模な改編であります。新たな安全保障環境に対応し得るように、内部部局について、防衛政策、運用の企画、人材の育成、装備の取得、地方との協力など幅広い観点から政策の立案及び実効機能などを強化し、まさに政策を担う政策官庁へと脱皮を図っていかなければなりません。装備品のライフサイクルを見据えた装備取得体制の構築をするために、契約、原価計算などの各機能を統合した装備本部を新設し、さらに、自衛隊地方連絡部に災害対策、国民保護など地方公共団体との協力関係をさらに構築していくための機能を追加し、その名称を自衛隊地方協力本部とすることなど、今まで以上に、防衛機能を果たし得る体制が整備されることと考えております。 第5に自衛隊医官が抱える早期退職問題に対応するために、今年、一部の自衛隊病院のオープン化や防衛医学研究を開始いたします。自衛隊医官は、精強な自衛隊を支える要であるばかりでなく、イラクやインドネシアにおける活動、国内における災害派遣において、その主体となって活躍している一方で、医師としての技量の維持・向上に必要な臨床経験を得ることが困難であるという悩みを抱えております。自衛隊医官に「臨床」と「研究」の場を提供し、また、その活躍にふさわしい高官ポストを創設する本年の事業は、自衛隊医官に対する自衛隊全体からの期待の現れです。 最後になりますけれども、刻一刻と変化する国際情勢の中で、わが国が万全の防衛体制を保持するために、何よりも重要なことは防衛の第一線にある諸官一人ひとりが、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つという任務の重要性と責任の重みを自覚し、厳正な規律を維持しながら、職務に精励することであります。諸官が一丸となって本年も全力をもって職務を全うすべく努力されることを望みます。 かつて、紀元前数百年も前に、時代の先駆者的な哲学者でありました孟子は、こういうことを言っております。「国、恒に亡ぶ。然る後に、憂患に生じて安楽に死するを知るなり」と。これは、内に代々規範を守る譜代の家臣や君主を補佐する賢者がなく、外にも対抗する国や外国からの脅威がない場合は、自ずと安逸に流れてついには必ず滅亡するというものであります。つまり、個人的にせよ、国家にせよ、憂慮の中にあってこそ初めて生き抜くことができ、安楽にふければ必ず死を招くということであります。私も、こうした先人の教えを胸に刻み、諸官とともに、わが国の防衛に全身全霊で取り組んでまいりたいと考えます。 全国及び世界各地の隊員の諸君並びにご家族の皆さまのますますのご発展、ご健勝をお祈りするとともに、この1年が防衛庁・自衛隊のさらなる飛躍の年となることを祈念し、年頭の辞と致します。 |